第243話 爵位を受けさせられる
イベッテも出産から落ち着き、順調に体が回復している。
佐和の子供に比べ、一ヶ月半程後に産まれた赤ちゃんだ。
そして・・・・暇なのか、王様が頻繁にイベッテの元へやってくる。
国のトップがこんなんでいいのか?
一通り孫の顔を見て満足したのか、王様は帰ろうとする。
が、俺の姿を見かけ、こっちにやってくる。
「婿殿!イベッテも落ち着いただろう!そして、店も軌道に乗ったようだな!良い事だ!がははは!」
・・・・怪しい・・・・何を考えてるのか、いつも分からないが今日は輪をかけて変だ。
何か良からぬ事を企んでいそうだ。
だが・・・・俺の予想は外れ・・・・
「さあ!どれがいい?」
と、突然言ってくる王様・・・・どれがいいって何の事?
イベッテが王様の持っている何かを取り上げ、見る。
「お父様・・・・これは・・・・士門さまへ貴族になれ。と?」
は?貴族?俺が?何で?
「だって仕方なかろう!王族の娘を娶ったのだ、婿殿には、それなりの身分になってもらわんと、示しがつかぬのだ。」
「士門さま・・・・あ・・・・あなた?どうしますか?」
どうしますかって言われてもな・・・・
「貴族になったら、俺には何の利点があるんだ?あまりメリットを感じないというか・・・・・デメリットしか感じないんだが。」
貴族になり、領地を貰うと、色々な義務が生じる。
そういった事には疎いからなあ・・・・
「利点は・・・・街への出入りに、一般の門ではなく、身分のある人専用の門から行き来できます。」
「それはいいな。だが、イベッテが居ればいいんじゃない?」
「私が常に士門さま・・・・旦那さまと一緒に居られるとは限りませんし・・・・あ、それと、領地が貰える可能性があります。」
「領地かあ・・・・色々やる事があって、大変そうだなあ・・・・」
俺は・・・・責任が発生するから、どうなんだろうと考える・・・・・
「領地から、税金が入ります。」
「おっと・・・・金が手に入るのか・・・・」
「おおよそこの辺りが、メリットです。そして、おそらくデメリットではと思うのが・・・・」
「領民を護る義務、農地や商用地の管理、国への納税、水路の管理、治水、道路等の整備・・・・」
面倒だなあ・・・・
俺が考え込むと・・・・
「婿殿!是が非でも受けてもらうぞ!」
急に強気になる王様。
何でかと思ってたら・・・・
「あれだけ世話になっているのです、せめてこれぐらいはして差し上げなさい。」
と、王妃に言われてるらしい・・・・
仕方が無い・・・・受けるか・・・・
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