第222話 貴族の横やり

拠点の増築、工場、独身寮等の建物の建築、店の準備・・・・上手くいっていると思った矢先に、ストップがかかった。


たまたま俺が拠点にいる時に、それはやってきた。


「口田様、来客でございます。」

マウリシオさんが伝えてくれる。


うん?誰だ?約束なんてしてないし?


「誰だ?ギルドのミゲルさん?」


「違います。ティンドールを治めるプラシド・ネグロン・イ・ゴディネス伯爵さまの使いでございます。」


長い名前だ・・・・伯爵だと?

ドラキュラ伯爵?え?違う?


まあ偉いさんが口出しに来たか?


・・・・

・・・

・・


「えっと、何も約束してないよね?」


俺は来た人物にそう聞く。


「・・・・其方が口田士門か?」


こちらの質問には答えないのね?


「貴方が誰か存じませんが、いきなりアポなしで訪れたのです、先ずは名乗ってもらえませんか?」


「・・・・・イ・ゴディネス伯爵の名代としてやってきた、エウトロピオ・ネグロン・イ・ゴディネスである。」


・・・・息子か?


「俺が口田士門だ。で、何の用?」


面倒そうなのが相手だな・・・・



「そなた、なかなか活躍をしておるそうではないか。何故父を訪ねぬ。ティンドールに住んでおるなら、挨拶ぐらいしてはどうか?」


どうして上から目線?


(伯爵家の三男でございます。)


マウリシオさんがこっそり教えてくれる。


嫡男じゃないのか。


「・・・・何で領主?に会う必要があるんだ?」


「・・・・何も知らぬ下賤めが。つべこべ言わず会いに来るのだ。」


「わかったよ・・・・」


「分かればよい。もっと貴族を敬え!」


「そうだな、この”ティンドール”を出ていくよ。お前みたいの顔色伺いながら暮らしたくないからな。」


俺はそう言い、出ていこうとする。すると、こうなるとは思ってなかったのか、伯爵の三男は急に慌て始める。


「ままま待て待て!これでは父上に叱られるではないか!」


「じゃあ怒られて下さい。」


貴族のバカ息子か・・・・これから面倒事にならなければいいが・・・・


「それでは困るではないか!(何せ父から、最近活躍している冒険者の口田と言う者と、一度会ってみたいと、そこで俺様が、話をつけてきます!と約束した手前、此処を去ってしまっては困るのだ!)」


「困ると言ってもな・・・・」


すると、もうどうにもならないと判断したのか、本来の交渉人が話しかけてくる。


「申し訳ございませぬ、口田様。何分エウトロピオ様はこのような交渉事は慣れておりませぬ。お詫びいたしますので、どうか当主に一度会ってはもらえませんでしょうか?」


・・・・最初からこうならな。


「・・・・話を聞こうか?」


そうして俺と、本来の交渉人・・・・伯爵の代理人との話し合いが始まった。

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