第212話 Side ?????
私はどうなってしまうんだろう?
今までも、見えないし、ほとんど聞こえないし、しゃべれないし・・・・
誰かが世話をしてくれているのは知っていたけれど、私の意思を伝える事が出来ない・・・・
ヒルダ・ウルジュラ・ボスハールト
これは私の名前だ。ボスハールト家の長女。だけど、もうない。
国が滅び、皆と逃げたけど、逃げ切れず、大怪我を負ってしまった。
執拗に追いかけてくる人狩りのせいで、仲間がどんどん居なくなってしまう。
まさか刈られる側になってしまうとは・・・・
父が奴隷を所持していたから、罰が当たったのだろうか?
逃げる中、ノエラが助けてくれたけれど、私は深手を負ってしまった。
もう足は駄目だろう。
手も怪しい。
全身がやけどを負ったようで、兎に角痛い。
・・・・
・・・
・・
・
暫くして、ノエラの父親の所にたどり着いたけど、此処も危ない。
ノエラの父親が、娘に店を持たすという形をとって、そこへ私は連れて行かれた。
確かノエラの父親は奴隷商だった・・・・
私の父もずいぶん世話になったはず。
ノエラの父親に言わせれば、今まで受けた恩の、少しだけでも返せると言っていた。
私は日々、悪くなる。
喉がやられ、声が出ず、目も見えなくなった。
まだ耳が聞こえるうちはよかったが、そのうち聞こえなくなった・・・・
ノエラが世話をしてくれてるようだが、申し訳ないな。
もう助からないのなら、見捨てればいいのに。
客観的に言って、私は駄目だろう。
時々、魔術師や治療師が来て、私に回復魔法を使ったり、医療の知識のある者が、時々包帯を取り換えたり、薬を飲ませたりしてくれているが・・・・治らない。
遂に腕も駄目になったようだ。
利き腕の指が、ほとんどない。左手も動かない。
片足は太ももから先が、腐ってなくなった。
もう片方は、無事だが、ひどいやけどで痛む。見えないから分からないけど、切り傷もありそう。
・・・・
・・・
・・
・
更に日が経ち、起きれなくなる。
そんなる日、ノエラが誰かを連れてきたようだ。
冒険者?
何か喋っているようだけど、聞こえない・・・・
更に月日が経ち、具合がどんどん悪くなる。
意識が保てない。時々気を失う。
そして・・・・気が付けば、いつぞやの人がまた来ている。
よく分からないけど、持ち上げられた。連れていかれるのかな?
何かに乗せられ・・・動いている?
感覚的には、前に進んでいるようだけど、魔法で動いている?
何か凄い魔力の流れを感じる。
そして停まり・・・・落ちる感覚。
この乗り物は、空を飛んでいたの?
そして・・・・どこかに寝かせられ・・・・私の服が取り去られるのが分かる。
もはや女性としての魅力はこれっぽっちもない。
こんな醜い姿では、抱く事も出来ないのでは?
胸は焼けただれ、性器も焼けて、男の人のあれが入るのかどうかも怪しいと思ったけど・・・・できるのかな?
せめて生きている間に、好きな人に抱かれたかった・・・・
そう思っていると、誰かが話しかけてくる。
え?どういう事?
【ボクは精霊ロンダーヴ。時間が無いから、パパっと聞くね。えっとね、ますたーが・・・・ますたーは、キミをここに連れてきてくれたんだけどね、キミを治療したいんだってさ。で、キミに生きる意志があるか確かめてほしいんだって。】
どういう事?私助かるの?生きたいけど・・・・これ以上人の世話になるのは申し訳ないの・・・・
【多分怪我とか治るよ?ただ、ますたーの代償が凄くて、それでも完治できるかは怪しいけど、普通に生活はできると思うよ?それにね・・・・無償でという訳には行かないでしょ?】
・・・・・つまり何かを差し出せと?
もはや死ぬのを待つ身。それでも生きたい・・・・何も、もう無いけど、それでも・・・・そうね・・・もし、生きる事が許されるのなら・・・・出来る事があればだけど、何でも・・・・何でもする・・・・だから・・・・助けて!
【うんわかった、ますたーに伝えるから。】
暫くすると、私に何か飲ませたようで・・・・眠たい・・・・このまま死んじゃうのかな?もう少し生きたかった・・・・
・・・・
・・・
・・
・
そして、私は目が覚めた。薄暗い部屋だ・・・・だけどあれ?見えてる?しかも、何か聞こえる?
口を開けて、試しに喋ってみる。
「ここは何処・・・・?」
え?声が聞こえる?
「あ、気が付きましたね。私の声が聞こえるかしら?」
聞こえる・・・・
「はい・・・・」
「そうよかった・・・・部屋が暗くてごめんなさいね。目が、まだ暫く慣れないと痛むから。段々と明るくなるから。」
そう言って女性が私の手を取る。
え?指が・・・・5本ある?
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