第211話 回復魔法の限界への挑戦

「知っているとは思うが、俺の所属はクラン”御国台”だ。パーティ名は・・・」


「希望、でござんしょう?」


知ってるよな?とか思ったが、何だか言い方が変わってきてる。もしかして、この変わったのが地なのだろうか?


「そうだな・・・・一週間だ。一週間後に・・・・こちらから伺うか、ノエラ、キミがこちらに訪ねてくれれば、この娘がどうなったか分かるようにはしておくつもりだ。俺は死なせないつもりだが、万が一力及ばなかったら、その時点でキミに知らせよう・・・・」


「ご配慮感謝もうしんす。口田様の良いようにお計らい下さいまし・・・・」


・・・・

・・・

・・


後日奴隷を引き取りに来る事にし、金を払い、この娘は・・・・運ぶのも危険そうなので、船へ乗せて連れ帰った。


・・・・生きてる人間に対し、鑑定でどこまで、病気、怪我の状態が分かるのか疑問だが、調べてみる。


以前見た四肢の欠損や、やけど・怪我は分かったが、病気は、出てこない。単なる衰弱と・・・体の一部の壊死と出ている。


さて・・・・どう治療するか・・・・


俺は世津達に手伝ってもらい、清潔な部屋に寝かせ、服を全部脱がす。

年頃と思われる娘だからとか思ったが、生きるか死ぬかだから、この際・・・・脱がしてくれたのは女性だから・・・・と思ったが、実際見ると、愕然とした。


体中が怪我だらけ火傷だらけ。所々壊死している。

胸も焼けただれ・・・・・性器があると思う部分も、見るも無残に焼けただれている。


う・・・・よく生きてたな、と正直思った。



そして・・・意思の疎通ができない。

触るとビクッとするが、もはや見えない聞こえない喋れない・・・・感じだ。

そして・・・・俺は一度、ロンダ―ヴに確認をしてみる。


【ボクは精霊だからね、この娘の精神に働きかける事ぐらい朝飯前だよ。え?この娘に、治療できると思うけど、生きる意志があるか確認してほしい?いいけど、もうこの娘の精神も最悪状態だから、生きる気力もないんじゃないかな?】


そう言いながら確認してくれる・・・・


【意外だけどね、この娘は今も生きたいと思ってるようだよ。治せるのなら、何でもするから治してほしいって。ただ・・・・こんな身体だから、どうやって恩を返したらいいか分からないって・・・・どうするの?】


意外だ。まだ諦めていないなんて。だが・・・・生きる意志があるなら或いは・・・・


「今から回復魔法を使う。同時に・・・・修復及び、創造のスキルを駆使して、試す。世津、三津枝、俺は無理をするから・・・・後は頼む。佐和・・・・隣にいて、俺が倒れそうになったら、支えてくれ。」


3人にそう伝え、この哀れな娘の治療を開始する。


俺はシビルが持っているという、眠り薬?を貰い、この哀れな娘を眠らす。そして、ナイフを取り出し、壊死してる部分を削っていく。世津と三津枝が、布で拭いてくれる。


念のため、四肢の欠損部分もナイフで削る。


ここで修復、創造を使い、四肢の修復及び、傷んでいる皮膚の再生を試みる。

う・・・ここまでで相当魔力?を持ってかれた感じだ。そして・・・・回復魔法で、治療をしていく。

俺の中の何かがドンドン失われる感覚。


思考が止まる。考えられない。誰かが何か言ってるが何言ってるのか分からない。


誰かが俺を引っ張ってるが、逆らう。


・・・・誰かが俺を支えてるようだ。だが気にせずスキルを使う。

治れ治れ治れなおレナオレ・・れ・・・・・・


俺は意識を手放した。

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