第210話 再び奴隷商の元へ向かう

俺は、以前奴隷商の所で、出会った少女の事が頭から離れず、もしまだいるなら、もう一度会ってみたいと、そう考えていた。


このモヤモヤとした気持ちを解決するには、もう一度会ってみる以外ないと思い、行こうと決めたのだが・・・・


「これ以上、嫁は駄目ですよ?」


と世津にくぎを刺された・・・


「いや、それはないから。えっと・・・・一緒に行く?」


そうしたら、何故か三津枝と佐和も付いてくる事に。


イベッテとシビルは何かしら忙しく・・・・職人の世話とかをしている関係で・・・・。


・・・・

・・・

・・


4人で奴隷商の元へ向かう。


えっと・・・ノエラ商会だったな?


迷う事なく辿り着く。アポなしだがいいだろう?


店の前に到着すると、ノエラ・バラチエが相変わらずのプラチナロング、浴衣姿で出迎えてくる。


「口田様、お久しゅうございます。」


「ああ、かれこれ2か月ぶりか?」


「そのようでございます。聞けば口田さまは近々店を出すとか。」


「まだだな。後4か月ほどかかる。今は職人の確保と、素材の仕入れ、商品の開発をやっている所だ。建物が完成するまで時間があるからな、それで久しぶりに来てみたんだ。」


「左様でございんすか・・・・あちきに何か力になる事がございましょうか?」


うん?前回と少し言葉使いが違う気が・・・?

2か月前だからなあ?


「ああ、そうだな・・・・俺が開く店で、使えそうな人は今いるか?」


「そうでございますね・・・・何人か・・・・一度見ていかれましょうか?」


「そうだな・・・・見せてくれ。」


俺はそう言い、ノエラの後について店に入っていった。勿論3人も一緒だ。


・・・・

・・・

・・


前回いた人は既にいなかったが、相変わらずというか・・・・親に売られた娘、仲間に裏切られた冒険者、家族の為に身を犠牲にした女性・・・・常にいるんだな・・・・


この中で、使えそうなスキル持ちの人を選んで、使ってみる事にした。

中には鍛冶仕事が出来る人材がいたので、一度試してみよう。


10人程選び、奥に進むと・・・・いた・・・あの可哀そうな娘が。


「む、あの娘はまだいたのか。」

俺がそうノエラに言うと、

「ええ・・・・以前お伝えいたしましたが、売り物ではございませんので・・・・」


しかし、以前に比べ、娘の状態は明らかに悪化しており、衰弱しているのは明らか・・・・

顔色も悪く、あれでは満足に起き上がる事も難しいだろう。


「こう言っては何だが・・・・以前に比べ、明らかに顔色が・・・・いや、それ以上に状態が悪化しているだろう?」



俺が指摘すると、ノエラが・・・・


「口田様のおっしゃる通り、この娘はもう長くはございません。あと2~3日ほどしか生きられないでしょう・・・・」


何という事だ・・・・


「治療はしないのか?まだ間に合うだろう?」


「無理でございます・・・・高位の回復魔法以外では、おそらく回復しないでしょう・・・・」


「誰かに見せなかったのか?」


「いえ・・・・王都に居る治療師には全て見てはもらいましたが・・・・」


「なあ、もう死ぬのを待ってるのなら、俺にくれないか?何とかしてみせよう。」


・・・・ノエラが考え込んでいる。


「口田様はこの娘を救える・・・・と?」


「やってみないと分からない・・・・が、可能性が無いわけじゃあない。」



「・・・・ようござんしょう・・・・この娘、口田さまにお任せいたしんす。どうか救ってやってくださいまし。」



よく分からんがこの娘の所有者は俺になったようだ。


「良いのですか、あのような事を言って?」


今まで黙っていた世津が聞いてくる。

「この娘の可能性を消すのは、いけない気がしてな。何故かはわからないが・・・・それと、本人に治したい意思があるか確認してからにはなるが・・・・」


俺はこの娘を救えるのだろうか?

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