第189話 スキル”窃盗”

”あのヒューマンからスキルを奪うチャンスです、マスター”


ナビちゃんが再びいう。


「何だよ奪うって。」


”あのヒューマンの、召喚スキルを奪えるチャンスですと言ったのですが。”


・・・・はあ?スキルを奪う?何じゃそりゃ?


”今まで、レベルが低くて使い物にならなかったスキルですが、窃盗スキルのレベルも上がっていますから、今なら条件が揃っていますよ。”



・・・・うん?何の事?確かに・・・・窃盗スキルあった気がしたけど・・・・?


そんな使い方をするスキルだったのか?


てっきり何か物を盗むスキルと思っていたのだが・・・・


”以前も、お伝えしたと思いますが、マスターはスキルによっては、スキルの使い方を理解されていない事が多いようです。今回は私がサポートいたしますので、召喚スキルを奪って下さい。”


はあ?理解できない・・・・


はっと気が付くと、黒ローブが何かしようとしている。


”マスター、あのヒューマンに触れて下さい、今すぐに。そして、奪うと念じて下さい。”


よく分からんが、やって見るか・・・



俺は素早く動き、黒ローブの背後に回り、首を絞める。


「ぐごが!がぎぐげ!」


首を絞められて真面に喋れない黒ローブ。


そして俺はナビちゃんに言われるがまま、奪うとイメージ?してみた。

すると・・・・うが!体に鋭い痛みが走る。

思わず黒ローブの身体を突き飛ばす。


何だ今のは?


「ぐご・・・・がは・・・・」


苦しんでいる黒ローブ。


”成功です。”


とナビちゃんが伝えてくる。



成功?召喚のスキルを奪った?


そう思ってると・・・・



「くそ!何しやがる!・・・・まあいい。今すぐ凄いの呼ぶからな!最後に勝てばいいのだ、はははは母はh!へ?」


何だよ母はhって・・・・


「何だ!どうした!何故出てこない!」


何か問題があるのか、黒ローブの様子がおかしい・・・・


「何で!出て!こない!」


必死になって何かをしようとしてる黒ローブ。


「あ!おい貴様!さっき俺様の首を絞めた時、何かしたな!」


・・・・正解だけど、秘密だ・・・・


「だったらなんだ?」


敢えてそう聞いてみる。


「くそ!くそくそ!どうしてだ!何故でない!あーーーーーーーーーー!」


喚き散らす黒ローブ。


”窃盗スキルで、あのヒューマンの召喚スキルを奪いましたから、もう召喚はできませんよ。”


何て事だ?

俺は自身のステータスを確認すると・・・・・あった、召喚だ・・・・


どうやって?原理が分からない・・・・


”窃盗スキルの発動条件が厳しいのですよ、マスター。先ずは、相手よりレベルが上でないと成功しません。次に、窃盗スキルのレベルより低いスキルしか盗めません。さらには、対象のスキルを発動しようとしている時に、相手に触れていないといけません。”


・・・・おいおい、何かとんでもない事言わなかったか?

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