第188話 シビル無双

 シビルは駆けながら、背にくくられている筒の中矢をにある矢を、手慣れた様子で取り、弓につがえる。


 そして・・・・

「トカゲは嫌!」


 とか・・・・あれワイバーン・・・・トカゲじゃない・・・・


 ヒュン!


 と飛んでいく矢。


 ああ・・・・無理だろう?

 どれだけ距離があると思ってるんだ?


「なあ・・・いくらなんでも、距離がありすぎるだろう?それに・・・もっと様子を見てだなあ・・・・」


 俺は走るシビルの横から声をかける。



「これぐらいの距離、大したことない。そんな暢気な事を言ってる暇はない。」


 何か別人?以前俺に突っかかってきた時の感じがする。


 で・・・・あ、ワイバーンが落ちてきた。


 あの距離で一撃かよ。


 100メートルは離れてたぞ?

 あの距離で狙われたら、ひとたまりもないなあ。


 だって・・・・豆粒にしか見えないぞ、100メートル向こうなんて。

 続いて二射、三射と弓を放つシビル。


 うわ・・・・全部命中かよ。

 しかも当たるだけじゃあなく、きっちり頭に食い込んでいる。

 威力も相当だ。


 こんな細い、小さな体の何処にそんな力があるんだ?


 これは負けてられないな・・・・よし、俺もやってみようか、レー〇ービーム!


 適当な石を拾い、狙いを定め、投擲。


 ドゴッ!

 身体のど真ん中に当たり・・・・ワイバーンが吹き飛んでいく。



 お!イケてるじゃん俺!


 そう思ってるうちに、5匹のワイバーンが落下していく。


 どんだけ凄いんだ、シビル。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 俺が3匹仕留める間に、シビルさんは7匹仕留めた。


 そして、俺達がワイバーンが居た所にたどり着くと、ボロボロの・・・・もう何か分からん・・・たぶん馬車だった破片が散乱し、商人?と冒険者?が数人怪我をしているものの、生きていた。


 そして・・・・もう1人、明らかにこちらに、敵意をむき出しにしている人間?が1人。


 黒いローブで身を包んでいるから、顔は分からないけど。


「あああ・・・・俺様の可愛いワイバーンちゃんが・・・・何してくれるんだ!」


 何だよワイバーンちゃんって。


「どなたか知りませんが、助けて下さい!いきなりこいつが現れ、ワイバーンを召喚し始め、襲ってきたんだ!」


 商人のおっさん?興奮しすぎ・・・・


 うん?どういう事だ?

 この・・・・黒ローブが、ワイバーンを召喚して、商人を襲った?

 いや・・・・もう馬車?原型留めてないじゃないか・・・・


 襲って荷物を奪う気だった?というか、荷物何処?


「く!とんだ邪魔が入ったが・・・・俺様が召喚できるのが、あれだけだと思ったら大間違いだ!」



 ・・・・いや、どうとも思ってないぞ。


 あ・・・何かしようとしてる・・・・?


 俺は黒ローブに砂を投げつける。



「うぎょ!」



 変な声と共に蹲る黒ローブ。


 うわ・・・・自分で投げておいて言うのもなんだけど、痛そう・・・・


「やってくれましたね、下種が!とびっきりのを召喚してやる!後悔しても知らん!」


 そう言う黒ローブ。


 そして・・・・珍しくナビちゃんが割り込んでくる。



 ”マスター!チャンスです!”


 へ?何がチャンスなの?

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