士門、復活

第162話 帰ってきた士門

ダンジョンの魔物の件が解決・・・・


ギルドへは、例のS級冒険者が報告しにきたらしい。


ま、クィンシーなんだけどさ。


だからもうクラン”御国台”は王都の城にはいない。


ティルドールのクランの拠点に戻っている。


そして今その拠点で騒ぎが起こっている。


「何ですかあれ?大きな船?がこちらに向かってますよ?」


たまたま外を見ていたイベッテが最初に気が付く。


そして、近くにはシビルがいる。

最近2人はよく一緒に居る事が多い。

なにせ、クランメンバーの殆どが召喚者のせいか、話が合わないからだ。


「魔力で浮かぶ船?明らかにこちらに来てます・・・・精霊様の気配も感じます・・・・」

シビルが言う。


異変に気が付いたせつ達もやってくる。


「あれは・・・船ですか?」


せつが言う。


「そんな感じだね?誰だろう?」


みつえも確認する。


そして・・・・地面に降りる船。


「あ・・・・あれは・・・・クルーザー!?もしかして乗っているのは・・・?しもんさん?しもんさんですわ、きっと!」


誰が乗っているのかを確認せずに飛び出すさわ。


皆、さわを止めようとするが間に合わない。


そして降りてきた士門に飛びつく、さわ。


「しもんさん!しもんさん!しもんさん!」


2人、抱き合っている。


固まる他の女性陣。抜け駆け成功・・・・


まさかの見た目一番の年長者、さわが抜け駆け。


普段のおっとりしたイメージとはかけ離れたその行動に、


「前重先生、変わったね・・・・?」


せつがぼそっと言う。


そう、士門が居なくなってから、さわは自分の気持ちが本物だったと気が付き、さらにその想いがどんどん膨らみ、もうこれ以上、押さえられなくなっていたのだ。


「ただいま、さわ。嬉しい歓迎だ!」


更に抱きしめる。


そして・・・・何とさわの方から口づけを求める。


押し倒される士門。


「勝手にいなくなって・・・・どれだけ心配した事か・・・・好き!しもんさんが好き!大好き!」


泣くさわ。


「この流れでは、割っては入れないよね・・・・?」


「完全にやられちゃった・・・・」


「普段からは考えられません・・・・」


それぞれ女性陣がつぶやく。


「待たせたな、さわ。ようやく踏ん切りがついた。さわの想いに気が付かないふりをしてたけど、もうそれはおしまい。今からは違う!ついて来い、さわ!」


「はい、しもんさん!」


「すぐ戻るから、少し待ってて。」



俺はさわをその場に留め置き、他の4人に声をかける。


「すまないが、今日はさわの為の日になった・・・・・君達にはほかの日にするから、待っていてほしい。」


「それは・・・・私達もいいのですか?」


「勿論さイベッテ。尤も君達が俺を見限っていたら別だけど。」


「それは大丈夫です、しもんさん。」


「うん・・・・ありがとうイベッテ、それにみんな。俺はもう以前の俺とは違う!」


こうして4人を後にし、さわを連れ、再びクルーザーに乗るのだった。

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