第136話 ダンジョンの報告

俺達は王都に戻った。


俺は魔法はあまり使わなかった・・・・訳じゃあないので、魔力が枯渇気味で眠い。


せつ達も、戦闘でかなり魔法を使用したらしく、王都へ辿り着くと、もうくたくたで、疲れ切った表情だった。


兎に角、報告だ。


先ずは、城より近い、ギルドへ向かう。


ギルドへ行き、何も言わず奥の部屋に向かう。


すると驚くほどの速さで、こちらのギルドのトップがやってきたので、簡単に経過を説明。

疲れてるので、詳しくは明日という事で帰る事に。

で、後から救助した冒険者が来るから、迎えを寄こすように伝言。


そしてそのまま城へ。


城へ行くと、王太子が待っていて、これまた簡潔に説明。

疲れ切ってるから、詳しくは明日と言って、強引に戻った。

いや、本当に疲れてるから。

もう魔力も底を尽きかけてるので、このエルフの娘にダガーを渡し、全員浄化の魔法をかけてもらった。


「このダガー、素晴らしいです。複数の魔法が付与されていますね。驚きです。」


驚いた声を出すのだが、今一表情が変わらない。

うーん・・・・喜怒哀楽が分からないぞ。

ポーカーとかしたら、表情読めないから勝てそうな気がするなあ、この人。


しかし・・・・ダンジョンでのあの凄い罵声は何だったんだというほど、丁寧に喋るなあ。

価値観が分からない・・・・


そして、今日はもう寝るという事で各自、自分にあてがわれた部屋に向かう。


そして・・・俺が部屋に入ると、そのエルフの娘もついてきた。あ・・・・そう言えば、この娘の部屋、どうしよう・・・・


「君、王都での拠点とかどうしてたの?」


「はい、王都では、宿を使用してました。」


「じゃあそこで泊まってきて。」


「何故でしょうか?」


「何故って・・・・ここはお城。今は俺達のクランは宿泊の許可が下りているが、君は別だ。送るから、宿へ行ってくれ。」


すると、突然目に涙をため、泣き出す。


「捨てるのですね・・・・」


「え?捨てるって?そんな事はないけど?」


「本当ですか・・・・私・・・・仲間を失って・・・・さらに・・・・拾ってくれた・・・・精霊様のますたーに捨てられたら・・・・生きていけない・・・・うう・・・・」


ああ、マジ泣きだ・・・・なんてこったい!

どうしたら良いんだ!


「大丈夫だから!居ていいから!」

どうしたら良いか分からないので、抱きしめてみる。


「本当ですか・・・・?私、此処に居ていいの・・・・?」


「ああ、いいから・・・・泣かないで・・・・・頼むよ?」


「わかりました・・・・その・・・・ありがとうございます・・・・」


こちらを見つめてくる顔に、相変わらず表情がない。

ただ、本人の悲しさ、嬉しさがなんとなくわかる気がしてきた。


「みんな・・・・ごめんね・・・・私・・・・幸せになるね・・・・」


うん?落ち着いたら一度この娘とじっくり話し合いを持ったほうがいいな。


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