第135話 脱出

「な、ちょっと離れてもらってもいい?」


「いけません!私の所為で怪我をされたのです!」


・・・・いや、それじゃあ俺動けないんだよ?君いい匂いだからうれしいし?何というか本当に同じ人間?あ、エルフか?というかあまりにも整いすぎていて顔が、人形みたいに見える。恐ろしく美人だ。

さわ達もとんでもない美人だが、こちらは人間味のある顔。

それに対しこの娘さんは・・・・無表情?声の感じと顔の表情が合ってない。


そして、腕を取ってくっついてくるから、ちょっと胸とか無さげだけど、そこは女性。柔らかな感触と、温かみが伝わり、ドキドキする。そして、周りの視線が痛い・・・・


俺は無理やり引きはがし、正面からこの娘を見つめる。


「君のパーティはどうした?」


「全滅した。」


「え?じゃあ、あそこで生き残って脱出してたのは・・・・?」


「知らないパーティ。」


「じゃあ何で君は助かった?」


「私は身軽だから、脱出口が無いか偵察に行っていたけれど、その間にパーティはミノタウロスに襲われ、私が戻った時には全員死んでいた。」


・・・・まじか・・・・?


「因みにレベルは?」


「・・・・9・・・・」


え?マジっすか?


「パーティメンバーも、もしかして、高レベルだった?」


「レベル8が3人、レベル9が私を含め3人。」


「もしかして、パーティレベルは・・・・?」


「パーティレベル?ランクかしら?Sだった・・・・」


え?パーティランクだっけ?Sが最高じゃなかった?それが全滅って・・・・


「何でもするので連れて行って下さい。あのミノタウロスには、私は太刀打ちできない。」


・・・・何でもだと・・・・?あんな事やこんな事も?マジっすか・・・・?


暴走しかける俺を、せつが現実に戻してくれる。


「しもんさん・・・・?こんな所でいちゃついてる時間はないのですけれど・・・・?」


「あ・・・・ごめん・・・・怒ってる?」


「怒ってません!」


いかん・・・・興奮してる俺・・どうしたら・・・・思わず抱きしめちゃった・・・・


「ごめんよせつ。心配かけた・・・・」


「あ・・・・」


顔を真っ赤にさせながら抱きしめ返してくれるせつ。


やばい・・・・興奮が止まらない・・・・


しかし、空気の読めない”黒い奴”が


「師匠!素材回収終わりました!」


と背後から声をかけてくる・・・・ううぉ!


離れる俺とせつ。


ジト目の3人の女性陣。

あ・・・・あとでね?


【後でマスターがしっかり抱きしめてくれるって!良かったね!】


と3人に声をかけてるロンダーヴ。


あ、それより生き残っている冒険者を無事に救出しないと。


ダンジョンの攻略?はひとまず置いて、一度外に出る事にした。


・・・・

・・・

・・


総勢20名ほどが脱出に成功。

この数倍の人数がまだ取り残されているか、死んだらしい。


流石に無理があるぞ。


全員を回復。徒歩で帰ってもらう事に。


護衛は”黒い奴”に任せ、先に俺達”希望”は城へと戻る事になった。


そう、マウンテンバイクに乗って。

で、このエルフの娘は乗れないので、どうするのかと思いきや、俺の背中にしがみついてくる。仕方ないので背負う事に。


人1人分の体重と思いきや、軽い?

確かに小柄、細い体型、胸もほとんどないけど、それにしても軽い・・・・40キロあるのか?

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