第116話 精霊”ロンダーヴ”  その①

ボクの名前はロンダーヴ。ロンダートじゃないよ?


こう言っちゃあなんだけど、実力はかなりのものだよ?


そもそも精霊に固有の名前が付く事は滅多にないんだから、その辺りは推して知るべきと思わない?


さて、ボクがマスターと出会ったのはね・・・・その前に、どうして人間の居る場所に来ちゃったか、知りたいよね?


ちょっとその辺りを今から話そうか?フフッ!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

時は少し遡り、数か月前、女神がミスを犯して慌てている所から始まる。


今日もフワフワ―スイスイー


何も考えないで漂うのも、たまにはいいよね?あれ?何か変わった感じだな?あっちかな?あっちへいけ!!フアフワー


あれ?なにか・・・・ありゃりゃ?これ裂け目じゃない?しかも人間の住んでいる所に行ける?


うーん悩んじゃうなーここの暮らしも悪くないけど、漂ってるだけだしー


ちょっといってみるかなー?うん・・・・暇だしねえいってみよー


ムムム夢夢むむむ・・・・中々きついなあ・・・・魔力が減っちゃうよー・・・・


あ、出た。ここが人間の世界かあ。あー、これはいけないなあ。このままだと魔力が無くなっちゃって、消えちゃうなあ。

このまま消えるなんて、ボク嫌だなあ?


あれ?何か・・・・呼んでる?なんだろう?カンカンと音がしてるー


あ、人間が・・・・精霊の住処作ってるよーあれに住まわせてもらおー スイスイー


「グワッツ!」



「親方!大丈夫ですか?」


「ぐうぉ――――――!」

どちゅーん!!!!!!!!!!!!!


「ううう・・・・何だったのだ・・・・今までと全く違うこの感覚。成功したのか?」


「親方?何やら剣が光っていますよ?」


「・・・・なんじゃこりゃ?今日は何やら胸騒ぎがするから、久しぶりに精霊の効果のある剣を打とうと思ったのじゃが、失敗か?ガエル・バルリエントスともあろう者が、こんなしくじりをするとは・・・・作り直すか・・・・ウギャー!」


【気安くボクに触るな!触っていいのはマスターだけだ!ってマスターって誰?】

しまったな・・・・考えなしにこの剣とやらに住まわせてもらったけど、出れないじゃない?

どうしてくれよう・・・・ここでマスターを待つか・・・・



「何だと・・・・まともに触れないだと・・・・どれ・・・・鑑定してみるか・・・・」



名称:<精霊剣”ロンダーヴ”>


<効果:精霊を使役できる。>


<種類:精霊剣>


<素材:ミスリル>


<製作者:ガエル・バルリエントス>


<レベル13以上で使役可能>


何だこれは!レベル13以上でないと扱えぬのか?

俺は一体何でこんなのを作ったのか・・・・?

捨てるのもなんだし・・・・加工し直すのも無理なのか・・・・?仕方がない、工房の隅にでも置いておこう。

しかし、何だったんだ・・・・いまだかつてない予感がしたんだがな・・・・?




暇だなあ・・・もう何ヶ月も経っちゃったけど、ボクにふさわしい奴なんて現れないじゃないか?幸いこの剣の中にいる限り、魔力の消費はほとんどないからいいけれど、外にいけないしなあ?

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