第115話 儀式

 イベッテに連れられ、王太子の元へ向かう。


 イベッテの雰囲気がおかしい。

 いや、女性陣の雰囲気がおかしいんだけれど。

 何だ?儀式って何があるんだ?

 そっとイベッテに聞くが、

「始まってからのお楽しみです!」


 と言われ、教えてえくれなかった。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 到着したのが、”儀式の間”というらしい。

 日本で言うなら、結婚式場とかのチャペルみたいな、前に舞台っぽい場所があり、その後ろは真ん中に通路があり、長椅子が左右にいくつも並んでいる、あのスタイル。


 100人程座れそうな感じだったんだけど、もうそこには長椅子の空きがないほど、ほぼ人が座っていて驚いた。


 皆身分のありそうな人たちだ・・・・何やらかしてくれるんだ?


 俺達は皆と対面する形で、舞台っぽい場所へ行き、そこに用意されていた椅子に座る。そして暫くすると、舞台の反対側に、王太子夫妻と、1人見慣れない娘さん・・・・たぶん”姫”たぶん王太子の子供が入場、そして、国王夫妻と、数人のそこそこ、俺よりも年上の女性から・・・レシティアもいる・・・・若い女性まで数人が入ってきた。

 うん?王族勢ぞろいとか?何始まるんだ・・・・?


 気が付くと、司会っぽい?司祭とか言いそうな姿の男性がしゃべり始めた。


 よく分からないが、俺がオークキングを討った事への称賛だ。

 何だか恥ずかしいぞ。


 そして・・・王太子の奥さんの懐妊の報告があり、もう居合わせた全員が喜びを表した。


 そして、やはり俺に感謝をするというような流れが。

 いや、頑張ったのは王太子夫妻だから、俺は睾丸渡しただけだから。


 で、次の話になった訳だけど・・・・恥ずかしすぎて、頭が変になっていた俺は、聞きそびれた。


 ”・・・・の儀を執り行う。”


 あ?しまった、何が始まるのだ?聞いてなかったぞ。


「口田士門殿、イベッテ王女、繁在家世津様、安楽座三津枝様、前重佐和様、前へ。」


 あら?何だこれ?


 ここで国王が前に出て、しゃべり始めた。


「皆も知っておろうが、この口田士門という男、この国で間違いなく一番の強者である。我も手合わせをしたが全くかなわなんだ。そんなこ奴を、我が娘イベッテがこの場に連れてきてのう、晴れて本日、祝義を執り行う事となったのじゃ!」


 ?何だ祝義って?・・・・・肝心な所をスルーする俺。


「イベッテ、儀式用のダガーを持つがよい。」


「いえ、いりませんわ、父上。先ほど口田様より、自ら打っていただきましたダガーを頂戴いたしました故。」


 おー!っとざわめく城内。うん?何だ?俺の打ったダガーがなんだって?正直ダガーの細工に時間がかかり、あまり寝てないんだよ・・・・凝り過ぎた・・・・もっと簡単な模様にすればよかった・・・・

「何!その方、自ら剣を打てるのか?」


「あ、はい、鍛冶スキル持ちでして、昨日何振りか作成いたしました。」


 ・・・・あれ?何この流れ?


「見せてみよ。」


 俺はダガーを・・・・自分用のを抜き、差し出す・・・・


「何じゃこれは!このようなものをお主は作れると申すのか?」


「え?何か変でしたか?」


 王様はダガーを奥さんに渡し、そして王太子が手に取る。

 皆一様に驚いた表情をする。


「なるほど、このようなものを用意するとは、お主本気じゃな!それぞれ4人も所有しておるのか?」


「「「「はい!」」」」


 4人が声を上げる。


 ・・・・何が起こるんだ?俺何かやらかした?

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