第95話 イベッテさんに詰め寄る3人 

せつ達がイベッテさんを部屋の隅に連れて行く。


俺はこのイケメンの相手をしているせいで動けない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「イベッテさん、どういう事でしょうか?あの方、王太子様だと仰ってましたよね?そして、イベッテさんを妹と紹介していましたよね?そして、しもんさんの事を義弟とか・・・」


「はい繁在家さん、その通りですが、何かおかしい事がありました?確か口田さんは独身。私が口田さんを結婚相手にと考えても何もおかしなことはないと思ったのですが、もしや既に3人のどなたかと婚約済みでしたか?」


不思議そうな顔をして答えるイベッテさん。


顔を見合わせる3人。


「え?もしかして、しもんさんと結婚したいの?」


「安楽座さん、当たり前じゃないですか、口田さんと結婚したいと思うのは。あれだけ強く、独身。見逃す方がどうかしていると思いますよ?」


「知らなかったですわ。私達、もうしもんさんとはずっと暮らしてますけど、事実婚みたいなものですわね。しかし、しもんさんはイベッテさんの事は、そのように結婚するというような事は一切言ってなかったのですが、どうなのでしょうか?」


「前重さん、皆さん、これを聞いて下さい。私がプロポーズをし、口田さんが受けて下さった時の様子を、魔道具で保存したものです。」


そして流される音声。


それを聞いた3人の表情は、微妙。


「え?これってプロポーズなのですか?そうは聞こえませんでしたが?」


せつは言う。


「うん。睾丸の事でよろしくとイベッテさんがいい、しもんさんがおっしゃってOKしただけに聞こえる。」


「もしかして・・・・イベッテさんの常識と、私達の常識が全く違うのかしら?」


暫らく4人で話し合う。


イベッテさん曰く、これを聞いたら、この街の人間は10人が10人、プロポーズを受けたと答えるだろう、と。

そして、さわが士門達の住んでいた場所では、今のはプロポーズにすらならない。しもんさんはそう言うつもりで答えていない、と。


これは困った・・・・

お互いの認識の違いが・・・・こんなにあるとは・・・・


そして、4人が渦中の人物を見る。


王太子と和やかに談笑している。

あ、これは駄目な奴だ・・・・3人は既に口田士門という人物が、この国の王族の仲間入りを果たしつつある事に気が付いていた。


出遅れた?!


だが、意外にもイベッテさんが助け舟を差し出す。


「あ、もしかしてですが、この国は一夫多妻制というのをご存知でしょうか?さらに言えば、まだ相手の男性が未婚の場合、結婚の順番は、知り合った順番で行う事があるという事です。この場合、私は4人目の奥さん、という事ですね。」


一気に場の空気感が変わる。


そして、4人がさらに、今度はぎくしゃくした雰囲気ではなく、1人の獲物を4人で狙うがごとくの雰囲気になった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


うん?何か変な視線が・・・?モテ期を通り越して、拘束期に突入しつつあることに気が付かない俺。やばくね?


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