第92話 国営ギルド

ラクシュアノス王国の主要な都市にあるギルドは、すべて国営・・・・・


そして無論、ティルドールも例外なく国営。


ギルドの責任者であるミゲル・グレンデス氏は、現国王の従弟にあたる。身分は侯爵家の次男。


更に受付嬢は全員、王族。

現在この街には4人の受付嬢が在籍しているが、うち3人は国王の従弟の娘達。

そして残る一人は・・・・


・・・・

・・・

・・


”本日より3日間、ギルド緊急閉鎖”

王国あげての騒ぎになる予感。


イベッテ嬢は、受け入れ準備に大忙しであった。


なにせ、首都より睾丸の受け取りに王族が来るからだ。


未だ王太子に後継ぎが誕生しない以上、睾丸に寄せる期待は大きく、睾丸入手の報が行くや否や、すぐさま受け取り部隊が出発するほどなのだから。


「そこ、ちゃんとしてますか?」


「はい、イベッテ様!もう全て用意は整ってますわ。」


「奥の部屋は?」


「チリ1つございませんわ、イベッテ様。」


「はい、では準備は滞りなく済んだようですわ。皆様、ありがとうございます。」


「何を仰られます、イベッテ様。ようやくイベッテ様にも幸せが舞い降りるのかと思うと、わくわく致しますわ。おめでとうございます!」


「皆さん、ありがとう・・・・」


「イベッテ様、それにしてもすごい方を引き当てましたね!」


「ええ、私のプロポーズを、その場で受けて下さったのですよ?聞いてみますか?」



そう言ってイベッテはひとつの魔道具を出す。

周りの受付嬢は皆興奮する。



”口田さん、睾丸、お願いしますね。そして・・・今後とも、末永くお願いいたします。”


”「あ・・・ああ?・・・よろしく頼むよ?」”


「「「キャー!口田さま凄い!迷いなく受けています!」」」


知らない間に話は進んで行く。知らぬは本人ばかり。いつの間にか婚約をしていたようだ・・・・


・・・・

・・・

・・



「はっくしょん!はっくしょん!」


あ・・・いかんな・・・・昨日寝相が悪かったからなあ。風邪ひいたか?


「あらしもんさん、風邪ですか?気をつけて下さいね。」


「ああ、せつ、気をつけるよ。それより、何かが起こるような、そんな予感がするんだけど?」


振り返ると後ろにはみつえがいた。


「え?何で気が付くのかな?」


みつえが驚く。


「あら?しもんさんの予感、当たりましたわ。ふふふ。」


・・・・3人のあいさつ。こんな日がずっと続くと思ってたんだけどな・・・・


今朝、王都より睾丸を受け取りに、使節団が到着したとの報告がギルドから来た。


暫くすると、イベッテさんがクランの拠点にやってきた。


妙に・・・・そう、いつものイベッテさんの、ギルドの制服ではなく、ドレスを着て、馬車でやってきたので驚いた。


えっとこういう時は・・・・こっちもスーツとか着たほうがいい?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る