第91話 イベッテさん
そして、今まで黙っていたイベッテさんが発言する。
「口田さん、睾丸、お願いしますね。そして・・・今後とも、末永くお願いいたします。」
フフッと笑みを浮かべるイベッテさん。
「あ・・・ああ?・・・よろしく頼むよ?」
よく分からないまま返事をしてしまった。何でイベッテさんがお願い?この時気が付いていれば・・・・気が付いていても返事は変わってなかったか?
「しもんさん、結局渡すのですか?」
「ええ?まあな、せつ。困ってる人を見捨てるのもなんだしな・・・・?日本じゃあ、不妊治療とか大変らしいからな。」
「で、どうする?秘密裏という事で渡してしまうの?」
みつえも聞いてくる。
「そうだなあ。そうしようか。だがどうやって偽装するのかな?」
「私達が仕留めた事にしてはどうでしょうか?」
「あ・・・・さわ、それでは、結局クランのリーダーが俺だから、結局見たことも無い王女様とかと結婚しなくちゃいけないんじゃない?」
「それもそうですわね・・・・」
そこに再びイベッテさんが。
「その辺りはこちらで何とかしましょう(もう父上に報告してありますから、手遅れなんですけどね)。では、交渉成立という事で、提出願えますか?」
「あ・・・はい、これです。」
何か分からんが、従ってしまった。
何か今のイベッテさん、雰囲気が・・・・先ほどまでと違う?
「一応、鑑定と、査定をさせていただきますから、暫くお待ち下さいね。」
そう言ってミゲルさんとイベッテさんは出ていった。
あれ?相談してからにするんじゃなかったっけ?どうしてこうなった?
「おかしいですわ。今、しもんさんは私達と相談すると言われたのに、何故か相談前に交渉成立してしまいましたわね。受付の方のスキルでしょうか?」
・・・・あ、そうなんだよ、一度イベッテさんを鑑定しようとしたんだけど、認識阻害のアイテム?装備中とかで、イベッテさんの名前以外分からなかったんだよ。
ギルドの職員とは、こういう装備をするのかな?
・・・・
・・・
・・
・
暫くして、2人が戻ってきた。
「本物ですな。感謝いたしますぞ、口田殿。」
「あ、まあ、はい・・・・」
「それで申し訳ないが、流石にこの睾丸の引き取りはそのままではできぬのでな、王家に直接引き取って貰わねばならぬのだ。急ぎ来るようなので、金は2~3日ほど待ってはくれぬか?」
なるほど・・・・まあ、今は金に不自由はしていないし、いいか。
「わかりました。では、3日後にここへ来ればいいかな?」
「それで願います。ただ、もしかして、急に来てもらわないといけない事態になりかねぬので、出来ればクランの拠点にその間は居てもらえぬだろうか?何せ相手は王国のトップだからな。」
・・・・渡すの早まった?
「口田さん、何かありましたら、私がお迎えに参りますので、そこはご安心下さいね。」
そのにこやかな笑顔、反則だよ。何かに巻きこまれた感じもしないではないけど、この場を去った俺達だった。
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