第77話 剣道の達人

その生徒は、棒一本でオークキングの攻撃を受け流している。

受け流してはいるが、防戦一方で、分が悪い。


しかし、生徒の動きがいいな。

何かやってたんだろうか?

・・・・あ、あれは剣道だな。

何となくわかった。


生徒にとって都合が悪いのは、剣道は竹刀を使うと言う事だ。


相手は、今回は剣。

日本刀じゃなく、刃が無いから何とか木の棒で受け流せているが、まともに受け止めれば、木の棒なんてあっという間に木っ端みじんだろう。


そして、せつが俺の傍に来て、


「しもんさん、彼は本白水 清伸、生徒会長であり、剣道部の主将です、助けてあげられませんか?」


「いいのかな?後で俺が仕留める事が出来たのに、余計な事するんじゃねえ!ってならない?」


「・・・・それは大丈夫と思います。彼、負傷しているようですし、あのままではいずれ・・・・」


そうなので、よく見ると、右のわき腹からうっすらと、血がにじんでるような服の汚れが目に付く。


それに、後ろに怯えてる女子生徒を守りながらは、きつそうだ。やはりここは俺がやるしかないか・・・・


「よしお前ら、任務を与える!その装備ならオークキングだろうと、そう簡単にやられないだろう!あの生徒と、後ろの女子生徒を護れ!俺はキングをやる!」



「「「「「はい!師匠!!」」」」」


返事がいいな。


そして、キング以外のオークを駆逐しつつ、あの生徒を護るように向かっていった。


「来るんじゃない!!君達には無理だ!」


一瞬気が逸れてしまったのか、隙が出来る。そこをすかさず狙うオークキング。

男子生徒は防ぎきれず、棒がへし折れる。オークキングが腹をける。

吹っ飛ぶ男子生徒。だが、野郎の1人がその生徒を受け止める。


「うう・・・・」

どうやら腕の骨が折れたようだ。


よし、俺の出番だな。

「みんなはあの生徒と、負傷してる他の生徒を見てやってくれ。オークキングは俺がやる。」


「任せて下さいな、しもんさん。」


さわが先に向かう。


「一人で大丈夫なの?」


みつえが聞いてくるが、


「ああ、残念ながら君達ではレベル差で負けるだろうけど、俺は一度オークキングを仕留めてるからな。大丈夫だ。」


「それならいい。気をつけて。」


みつえもさわに続いて走って行った。


「私は・・・・今後の事があるから、しもんさんの傍に居ようと思います・・・・」


・・・・そうだ、せつは女勇者なんだ。多分せつだけは、今後このような戦闘からは、避ける事が出来ないのだろうな。


「わかった。ただ、せつでは単独では恐らく負ける。注意してくれ。」


俺はそう言いつつ、足元に落ちている石を拾い、オークキングに数度投げる。


3発までは避けられたが、4発目が体に当たる。よろめくオークキング。

一気に距離を詰め、おっさんソード(仮)とかいう変な名前の剣で切り付ける。

オークキングは無理な体勢で、俺の剣を防ごうとしたが、どうにもならず、俺はオークキングの手首を切りつける。


剣ごと手首が腕から離れる。


「BUWOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!」


声にならない絶叫を放つオークキング。そこにせつが剣を突き立てる。

腹に深々と刺さる。


完全に動きの止まったオークキングの首を刎ねる。


気が付けば、他のオークもすべて倒れ、取り敢えずは危険は去ったようだ。

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