第64話 装備の新調

「やあ、今日はどうしたんだい?」


現れた白河さんが声をかけてくれた。


「あ、白河さん、また来てしまいました。今日は、あの5人の装備を整えようと思って。」


「ほう、ダンジョンでも行くんですか?」


「一度行こうと思ってるんですが、その前にクランに緊急依頼があり、オークの討伐が指示されて、あの男5人を向かわせたいのですが、まだレベルも低く、着ている服も普通の服、武器も無いのでこの店で装備を整えようかと思って。」


「なるほど。あの5人は日本人ですか?」


「はい、僕と同じく巻き込まれたようです。」


「なるほど・・・・僕の時はね、自分可愛さに他の・・・僕と一緒に巻き込まれた人間を見捨ててしまってね。尤も後に実力をつけて、生き残りの人を助けはしたけど、その時の事がずっと頭から離れなくってね・・・・」


そう言って白河さんは悲しそうな、つらそうな顔をする。


そして何を思ったのか、


「よし、決めた!たしか君も黒い服持ってたよね?あれは将校向けに用意したんだけど、彼らには下級指揮官向けの装備を使ってもらうよ。」



「え?いいんですか?確か昨日僕と一緒に来ていた現地の冒険者達には、普通の装備売ったんじゃなかったですか?」


「ああ、僕が便宜を図るのは、日本からの召喚者だね。現地の人間には基本そう言った意味では干渉しない。尤も店の商品は普通に売るけどね。第一彼らに色々アイテムを渡したのも、君達の助けになると思ったからだからね。」


そうだよな。ここは白河さんのお店。売れないと此処に関わってる人たちが暮らしていけないし、そもそも現地の人間全員に物をあげていたら、俺も俺もとなるからな。


「これを使うといい。5人でいいのかな?」


「はい。彼らは僕に付いてきてくれました。まだ召喚された場所には何人も残ってますが、彼ら彼女にはそこまでしません。」


白河さんが渡してくれたのは、僕が貰ったのと少し違うコートと服、ズボンだった。後はショートソードが5振り。更に短剣が6振り。


「君も短剣は持っておいたほうがいい。素材の回収時に短剣は役に立つからね。」


「ありがとうございます!どう恩を返したらいいのか、分からないのですが・・・・」


「気にしないでいいよ。同じ日本人として、僕に出来る事があったらまた助けるよ。尤も依存されると困るけどね。彼、彼女らには、この異世界で自立してもらわないといけないからね。」


僕は改めて白河さんに感謝を述べて、野郎共を呼び寄せた。


「お前ら、こちらにいらっしゃる白河さんが、この装備を授けてくれた。感謝するように!」


そう言うと一斉に、


「「「「「ありがとうございます!」」」」」


と、45度のお辞儀をする。ううぉ!と思ったが、この5人、全員体育系だったっけ?こういうノリなんだろう、普段から。


「ああ、その服ね、フルプレートより防御力あるから大事に使ってください。その剣も、相当な業物ですら太刀打ちできませんから、くれぐれも扱いには気をつけて下さい。」


そして、店から出て、再びゲート部屋へ向かう。


その前に、客間を解放してくださり、試着させてもらった。


なんでも、どんな大きさでも、サイズが自動的に調整される魔法が付与されているらしく、なるほど着てみればサイズがぴったりだ。


更に、昨日せつ達女性陣が此処で手に入れた服もそうだけど耐火と、空調?常に快適に着れる様に温度湿度の調整の魔法が付与されてる優れもの。


こうして、黒ずくめの6人衆が出来上がった。


え?黒い6連星?言っちゃダメな奴?それを言うなら3だって?ジェット●ストリームアタックとかしたくなるよね?風魔法使えばホバリングとかできそうだし。いいじゃないか別に、もうノリだなこれ。


妙なテンションのまま、僕達はシラカワ領を後にした。



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