第62話 ダンジョンへ行く前に

「なあお前等、その前にひとつやる事がある。」


 と、僕は野郎共に言う。


「はい、何でしょうか、師匠!」

 おいおい、さっきから僕の事を師匠とか、むずかゆいじゃないか。

「あ、その前にだな、お前等、彼女いるのか?」


 ・・・・暫くの沈黙。

 そして1人が答えた。


「向こうにいます。彼女は合宿に参加していなかったので。」

「僕の彼女は・・・・行方不明です。恐らく死んだのでしょう・・・・」

「募集中です・・・・」

「同じく・・・・」

「・・・・」


 何故一人答えない?


「おい、一人答えなかっただろう?重要な事だ、答えろ!」

「館へ一緒に来ています・・・・」


 何だと・・・・リア充爆発しろ!


「よく言った・・・・2人は・・・・残念だな。特に、彼女が死んだお前。一人我々の敵が混じっているようだが大目に見よう。そしてここは異世界だ。きっとハーレムを作れるぞ、今後の活躍次第では。」


「マジっすか師匠!」

「おう!だがその前にやらなければいけない事があると言っただろう?いいか、学校に残してきた生徒の救出だ。強姦魔達と共に残るという、愚かな選択をした女共を救出する必要がある。」


 おお?真剣に聞いているじゃないか。

 残った女を救出するという立派そうな行動だが、実際は欲望にまみれた提案だ。


「あ、わかりました!ここでかっこいい所を見せて、彼女ゲット!ってやつですね!」

「はっきり言うな。だが、助ければきっと惚れてくれる・・・・はずだ。しかし、お前達の実力は強姦魔には及ばない。」

「そんなに違うのでしょうか?」

「ああ奴等はレベル6、ひょとしたら7になっているかも。しかしお前達はレベル3だ。これでは勝負にならない。だがここで俺に付いてくるなら、パワーレベリングで強くしてやろう!そして女をゲットだ!」


 おおお!と盛り上がる男子、チョロイン。

 だが、1人だけ・・・・


「あのお、僕彼女いるんですが・・・・」

「何だリア充、女が1人じゃないといけないと誰が決めた?強いオスには複数のメスが群がるのは常識だろう?だからいいんだよ?ここは異世界だし?」


「そうなのですか!わかりました!」


 こいつ等単純だなあ。

 こうして話が纏まって?みんなの元へ戻った訳だが・・・・


 そして野郎共には5人でパーティを組んでもらい、僕の方は3人の彼女達と共にパーティーを・・・・もう組んでいるか・・・・救出作戦を開始する事になった。

 何せ女性陣は、3人を除くとだけれど・・・・戦闘は避けたいという圧倒的な意見だったから。

 そしてここにあって、ギルドから緊急連絡が来た。


『街の近くで恐ろしく強いオークが暴れている。至急討伐してほしい。』

 と。

 ああ、そうそうクランの拠点、これの手続きをした時、ギルドでミゲルさんが言っていたギルドで利点のうちのひとつが、ギルドとの通信魔道具。

 ギルドに急な連絡を取りたい時、もしくはギルドから緊急依頼がある場合に使う。

 クランのような大きな組織の拠点に備え付ける事になっている。


 緊急依頼の連絡がこうやって入る。

 ある意味タイミングがいいな。

 折角なので、野郎共のパーティーと、僕のパーティーで向かうか。


「しもんさん?何か良い事ありました?生き生きしていますよ?」

「え?せつ、僕そんなに生き生きしている?」

「ええ・・・・男子生徒と何かありましたか?」

「ああ、男同士の絆というやつだな。」

「よくわかりませんが、一寸心配していましたのでよかったです。」

 うん?何を心配していたんだろう?

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