第45話 ミゲルさんの価格提示

「どうする?」

 ヒソヒソ


「え?しもんさん、売らないのですか?」

 せつがさも売るのが当たり前といった感じで聞き返してくる。


「そこ迷う必要ある?」

 ズバッとくる安楽座さん。


「まあまあ、最後に決めるのは口田さんですからね。私は賛成ですけれど。」

 大人な対応の前重先生。

 今、四人でひっそりと話をしている。


 何故かと言えば・・・・


「・・・・まずは胡椒ですが、一袋小金貨5枚でどうでしょうか?」


 ・・・・え?ミゲルさんの提示した金額に驚く。

 因みにただで手に入れたとはいえ、店での販売価格は200円ぐらい。

 小袋、小瓶の詰め替え用が驚きの値段。


「砂糖ですが、これだけの量ですと金貨3枚でどうですかな?塩ですが、こちらは金貨1枚ですな。どうですかな、口田殿。」


 凄い値段だったので驚き、皆と相談する事に。

 砂糖と塩は袋入りで1キロのやつ。

 甜菜糖とか黒砂糖とかあったけど、あれらは少なかったから出さなかった。

 上白糖は、どの店でも大抵ドカ売りしてるからな。


 結局売ることに。

 胡椒の小袋10ケ、砂糖と塩一キロを5つ。

 胡椒は、金貨5枚。砂糖は金貨15枚。塩は金貨5枚。


 計25枚。

 凄い。


 因みに小出しにしたのは、大量に一度に出せば値崩れする可能性があったから。




 今から楽しみだ。


 そして、ミゲルさんが再び口を利く。


「それにしても、凄いものを出してきましたな、口田殿は。この街で商売を始めるのですかな?」


「あ・・・ああ・・この街まだ知らないからなあ。商売するかどうかは考えてないかな。」

 商売か・・・・今ある商品が無くなったら、売るもの無くなるな。あんまり売りまくってトラブルにならないだろうか?

 希少な商品をめぐって争いになるとか。

 慎重に考えよう。


「おお、そうだった、忘れていた。口田殿が購入する館、もう引き渡す事ができるがどうする?」


「じゃあ早速頂いときます。」

 金貨500枚をカバンから出し、渡す。

 うーん・・・さっきの売った金以外もう殆どないな。


「ああ、それと・・・・あの館、今も一応人に管理させているのだが、引き継がすか?元々公爵付きの執事と、メイドだ。ああいった館には必要だろう?」


「む・・・・見知らぬ人と暮らすのか・・・・」


「その辺りは心配いらない。彼ら彼女らはプロだ。口は堅い。たとえ口田殿が館内で犯罪を犯しても、館内の出来事は決して誰にも言わない。」


 ・・・・日本じゃあ絶対言うな。


「ちょっと待ってくれ。」


「なあ・・・・執事とメイドだよ!」


「何期待してるのでしょうか?きっとお爺さんお婆さんです。」


「あ、やっぱりそう?せつの家の執事とメイドは歳いってた?」


「執事は60近かったですね。メイドは・・・・メイド長が50代、リーダーが40代、あとは20代と30代ですね。というか私そういった事、話しましたか?」


「いや、多分いいとこのお嬢さんだと思ったから、もしかしてと思って聞いてみただけ。」


「家が金持ちの娘とか嫌いですか?人によっては避けられるので・・・・」


「いや、問題ない!」


 まあ、折角こんな美女・美少女に囲まれてるんだ、これ以上期待はしないほうがいい。


「よく分からんが、そのままいてもらっていいのか?今はギルドが雇い主扱いだが、今後は口田殿になる。あ、それと、クランの拠点として使うんだったな。その手続きもしとておこう。」


 この後、屋敷をクランの拠点にする手続きをし、給料や手数料を先に金を払う。

 意外とかかる。


 金貨20枚が飛んだ。


 さて・・・・実際の引き渡しは翌日になるらしい。


 さあ楽しみだ。


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