第38話 スキルの威力

「そういえば、襲われた人を回復してくれてありがたいと思ったけれど、今思うと可也都合よく現れたよね・・・・」


「うん、言われてみるとあの口田って人が現れたタイミングって、御国台が襲われた直後でしょ?」


「・・・・じゃあ、知見寺ちけんじ君の言っている事って・・・・」


 更に柔剣道城内がざわついていく。

 そして、注がれる視線。


「今度は、何やら沢山の人を連れてきているわよ・・・・」


「怖い・・・・」


 は?・・・・なんだこれ?どうなっている?

 この場に居る召喚者全員が、あろう事に気付かなかったのだが、知見寺はスキル”話術”もちであり、このスキルの影響で本人が気づかぬうちに、言っている言葉が召喚者者全員に浸透していったのである。


「おい口田殿、これはどうした事だ?」


 ブリセーニョ殿が聞いてくる。


「いや、何が何だか・・・・?」


 そして、ここを任された3人がこちらに来る。


「・・・・口田殿じゃったか、何じゃあのわっぱは?こんな事にスキルなんぞ使いおって・・・・しかも見当違いの事を言うておる。」


「え?カトリーンさん、どういう事?」

「あれはのう、話術じゃな。」

「話術ですか?」

「そうじゃ。あのスキルがあれば、こうしたいああしたいと言った事が、口先三寸でまかり通ってしまう恐ろしいスキルじゃな。」


 ・・・・どうするんだこれ?


「しかも、この流れではこちらが反論しても、逆効果じゃな。」

「なんてこった・・・・どうしたら良いのだろうか?」

「どうするもこうするも・・・・其方はこ奴等を助けたいのかえ?」

 ・・・・別に、一緒に巻き込まれただけだから、無理にはな・・・・


「えっと・・・・正直たまたま一緒に転移?召喚?させられただけの、赤の他人なんだよな。そう言われると無理に助ける必要はないかな?」

「じゃあ決まりじゃな。そなたはこ奴等に対し、義理は果たしておる。」


 ・・・・そんなものだろうか?


「それにのう、女子共が強姦魔の仲間を受け入れると、そう思っておるのじゃ。後は自己責任じゃな。」


 ・・・・厳しいなあ。

 そう思っていると、

 ”何度も呼び出してたんですけど――――ようやく気が付いた!”


 空気読めよくそ女神。


「何だよ今立て込んでいるんだよ。」


 ”報酬ですよ報酬、魔法が使いたいって言っていたじゃないですかやだなあもう火を使えるように火魔法と回復魔法付与しといたので後で使ってねそれと生活魔法が使えるようになるのは水魔法と風魔法が必要なのでこれも付与してあげる!これで浄化できるのよどう凄いでしょ!・・・ってあなた凄いスキル譲り受けたわね!それ凄いチートよ!向こうの物大概手に入るから!何だか揉めてるわね女勇者たんさえ生きてれば後はどうでもいいから女勇者たんだけ護ってね女勇者たんハアハア”


 ・・・・なんだよ女勇者たんハアハアって。

 最初は勇者ちゃんって、言っていたじゃないか。

 最近は・・・・・まあ貰えるものは貰っとくか。

 そして気が付くと、俺はこの場にいてはいけないような存在みたいな雰囲気になっていた。


 ”あ、そうそうまだこの辺りにオークキングが残ってるのよね今あんたが此処を去ったらここの人達全滅ねオークジェネラルも残っているしそしてやっかいなオークコマンダーも残ってるのよねまあ残った人達頑張ってねえって感じかしら?”


 ・・・・大丈夫なのか?

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