第21話 結局止めを刺してもらう事に

「兎に角、2人にはできる限り止めを刺してもらう。生き物を殺せないとか、そんな悠長な事は、言ってられない。」


「で・・・・出来るでしょうか、私達に。先ほども、血を見て吐いてしまいました・・・・」


「私、目の前がくらくらして、倒れてしまったけれど、問題ないだろうか?」


・・・・まあそうなるわな。


「今度気絶したら、命に直結するから気をつけて、耐えるしかない。恨むならこんな事をしでかした、くそ女神を恨め。ってきた!」


話す傍から化け物が・・・・・オークとゴブリンが3体ずつ。


殺さずに無力化できるだろうか?


玄関を出て、石粒を拾い、投げる。体に命中、うわ、まるでハチの巣だな。

これマジで気をつけないと、人を殺しかねない。


その場でゴブリンは動かなくなったけど、オークはまだ動く。

剣を握り、一番近くのオークを切っていく。

四肢を全部切断。

これを3匹とも。

流石にこのままだと失血死しそう。急いで2人に止めを刺してもらわないと。

2人を手招きし、こちらに来る2人。

周りで四肢を無くし、のたうちまくってるオークを見て、動きを止める2人。

いや、僕だってしたくないよ?でもしないと生き残れない。


「時間がない、早くするんだ。先ずはせつ、君からだ。」


そう言って有無を言わさず剣を握らせる。

涙を見せ、真っ青な顔をするせつ。だがここで放っておく訳にはいかない。


「できないなら目を瞑っておけよ。その代わり剣はしっかり握っておくんだ。」


そう言ってせつの後ろに回り込み、抱き着くような姿勢で、後ろから手を掴み、有無を言わさず、オークの首に剣を下す。首が落ちるオーク。


その場にへたり込むせつ。時間が無いので、剣を取り上げ

「次、安楽座さん、出来そう?」


やはり真っ青になりながら、顔を左右に振り涙する。

でも、無理やり剣を握らせる。そして先程と同じように、後ろから抱きつくような姿勢で手を握り、もう1体のオークの止めを刺す。

そしてもう一度せつに剣を持たせ、同じ事をする。


2人、真っ青な・・・と言うかもう顔色がないな・・・・一応気絶したら、命が危ないと言っておいていたからか、辛うじてその場に留まって、目を閉じ震えてる。


その間にもゴブリンが来るので、どんどん仕留めていく。

うーん・・・・止めを刺させるの、難しそうだ・・・

仕方ない、複数ずつ仕留めさせよう。そう思い、ゴブリンを10匹ほど仕留め、こちらに後続が来なくなったのを確認してせつにまた剣を持たせる。


「ひっ!い・・いや・・・・もう・・・」

ガクブル状態。そして・・・・股間から・・・・おしっこが駄々洩れ・・・・安楽座さんも座り込んで、地面に水たまりを作っている。普通の日本人じゃ、こんな事しないから。ましてや人型の魔物と戦って、殺すとか有り得ないし。

しかしながら、このままだと多分せつも安楽座さんも生き残るのは難しいだろう・・・・この2人に、残りの音楽室のメンバーの、生死もかかってるし。正直全部面倒なんて見切れん。そもそも、こっちが面倒見てほしいぐらいだから。


仕方ないので強引にせつを抱きかかえ、剣を離さないようにしながら、ゴブリンの所へ引きずっていく。


「ごめんなさいまし、ごめんなさいまし、赦して下さいませ・・・・」


微妙に丁寧に謝ってくるけど、もう誰に謝ってるのか、本人も分ってないだろうから、無視してどんどんこのまま、止めを刺す。


止めを刺し終わった頃に、また魔物が・・・・またしてもゴブリンが来たので、せつを安楽座さんの隣に座らせ、また仕留めていく。今度は6匹か。

今度は安楽座さんに剣を持たせ、同じように抱きかかえ、そのまま引きずっていき、剣で止めを刺させる。


「けだものけだもの、けだものけだもの・・・・」


2人、後でちゃんと元に戻るだろうか?今回のせいで、色々なトラウマになったり、精神疾患を患うとか、責任感じるし。


そして気が付けば、大量のゴブリンの死体と、それを囲むように、オークの群れに囲まれていた。あれ?いつの間に?

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