十一話 急激に変化する男

 フェンリルを倒したあと、うつ伏せのまましばらく動けなかったが、そこからなんとか力を振り絞ってなんとか立つことができた。

「ふー、ここまでいろいろあるとゲームの中だってことをつい忘れそうになるな。」

 そう呟きつつ、先程までフェンリルがいた場所へと歩みを進める。

 そこに落ちていたのは半透明の球体。

 中には雪の結晶の形をした青い紋様が一つ浮かんでいた。

「なんだこれ?」

 そう言いつつその球体を手に取ろうとした。本来ならば<鑑定>スキルを使って正体を確かめるべきだったのだが、大きな戦いのあとで気が抜けていたのだろう。不用心にも何の疑いを持つことなく謎の球体を手に取ってしまった。

「あ、が、うぐ、がああぁぁぁぁ!!!!!!」

 右手に取った球体から大樹の根のようなものが体内へと侵入し、全身へと激痛が走る。すぐに手放そうとしたが、右手から剥がれる様子はない。

「ぐ、が、あ、なんだ、よ、これぇ!」

 全身をいじくり回されているかのような感覚を覚える。あまりの痛みに意識が飛びそうだ。いつ意識が飛んでもおかしくないのだがなぜか飛ばない。この感じはきっとわざと意識が飛ばないような設定にしているのだろう。まず日常生活では味わうことのない激痛が走っているにも関わらず、意識が残っているほうがおかしい。

 一体どれだけ時が経っただろうか。自分の感覚では軽く一時間以上は経ったように感じる。実際はそれほど経過していないかもしれないが。今になってやっと痛みは収まったようだ。そして、自分の右手の中にあった球体はなくなっていた。おそらくはすべて体内に入ったのだろう。……だって俺の体に根をはっていたし。………根拠はないけど。

 さて、やっと気持ちが落ち着いてきた。

 いやー、いくら自分の不用心が招いたこととはいえ、むしろ不用心だったからこそいきなり全身に激痛が走ったらそりゃ冷静さ失うよ。

 そんなこんなでその場から立ち上がると、なんだかやけに体が軽い気がする。

「いろいろあったせいですっかり忘れてたけど、俺の今のステータスってどうなってるんだろう?」

 そう思い、自分のステータスを見てみる。



 名前  ヴァイス

 職業  導師・戦士

 種族  氷狼人

 スキル 鑑定・液状化・神狼の構え

 魔法 アイスショット

    アイスジェット

    アイスカッター

    アイスソード

    アイスアーマー

    アイスフィールド<new>

    アイスブレード<new>

    アイスピラー<new>

    アイスクロウ<new>

    アイスメテオ<new>

 称号 アナザー

    神狼の継承者

    神殺し



 なんか思っていた以上にいろいろ増えていろいろ減っていた。






 なんとか今日中に二話投稿することができました。もし面白かったブックマーク及びに感想等お願いします。

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