八話 イベントに愛される男

「はぁ、はぁ、これで何体目だっけ?」

 そんなことを言いながら思い出そうとするのは今までに倒したトレントの数。何体倒したかわからなくなるほど多くのトレントを狩りまくったために、大幅にレベルが上がり、新しい魔法も覚えていた。


 名前  ヴァイス

 職業  導師

 レベル 24

 体力  3400/3400

 攻撃力 400

 防御力 200

 素早さ 200

 魔力  150

 スキル 鑑定

 魔法  ウォーターショット

    ウォータージェット

    消費魔力 15

    ウォーターカッター

    消費魔力 10

    ウォーターソード<new>

    消費魔力 20

    ウォーターアーマー<new>

    消費魔力 30


 これって強いのか?よくわからないなぁ。ちなみに新しく増えた魔法だが、ウォーターソードは空中に水の剣を生成し、それを自在に操る魔法で、ウォーターアーマーは体全体に水の鎧を纏う魔法である。

「このステータスが強いのか弱いのかわからないけど、今日はとりあえずこの辺にしてログアウトするか。」

 そう呟き、依頼を受けた冒険者ギルドへと向かおうとすると、何やら周囲に冷気を帯びた霧が発生し始めた。すると、ここでいきなりメッセージが届いた。

 

 アナザーイベント

  <森に潜む氷結の獣>


 勝利条件:あるモンスターの従属



 なんだかワケわからんことが起こった。本当はやりたくなかったけど、やるしかないよなぁ。何やら貴重なイベントっぽいし。………この感じだとログアウト遅すぎて明日学校行けなさそうだな。まぁそのときはそのときだな。

 そんなわけでそのアナザーイベントを受けることにした。


 [イベントの受注を確認。特別ステージへと転送します。]


 そんな音声が聞こえたと思うと視界が真っ白になり、次に目を開いた瞬間には全面が凍り付いたまさに白銀世界と呼ぶべき光景が広がっていた。足元には人一人寝れそうなテントがあり、目の前には何十段にも及ぶ氷でできた階段があった。その先には同じく氷でできた浮島がある。本来ならすぐにでも階段を昇るところだが、テントの方を見るとセーブポイントと書かれている。普段、ログアウトする場合はどこでも可能だが、宿泊施設やテントでログアウトすると次にログインしたときに消費した体力や魔力などを完全回復できるのだ。つまり、トレントを狩りまくって肉体、精神ともに疲れきった体を休め、完全な状態でこのイベントに挑めるということだ。

「よし、テントに入ってログアウトしよう。」

 そう言って今日はここで終了した。


 次の日、本業である大学生として午前中だけの講義を受けたあと、午後からさっそくログインする。

「よしっ、体調バッチリ!さっそくこの階段登るか………。」

 若干テンションが下がりつつも階段を昇り始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る