外伝 あの件ってどうなったの?:探求編
我が名はくまぽん、紅魔族随一の風使いにして上級魔法を操る者、かつては深淵を探求せし
この名乗りを出来る日がどれほど待ち遠しかったことか…。
吾輩は野良の紅魔族故に基本職から研鑽を重ね修行を重ねて今の地位を手に入れた。
里の連中のような養殖物とは一線を画す存在、努力してきた天才、それが吾輩。
と言いつつも、たった今
とりあえず新たに
「え? 風使いなのに
紅魔族たる者、初めに覚える上級魔法はその2つと決まっている。…訳でも無いが、我が師匠さっかりんはこの2つの魔法をそれは格好良く使いこなしていたものだ。
ギルドを見渡せば新人のパーティだろうか? 傷の無い真新しい装備に包まれた一団が吾輩の横を通り抜けて行った。
彼らの様にかつては吾輩も新人だった。ほんの数ヶ月前、まだ『深淵の探求』などと子供の遊びの様な真似を臆面もなくしていた頃だ。
えらく懐かしく感じる…。
数ヶ月前…。
「よぉ、紅魔族随一の『春一番さん』。今日は『探求』しないんですかぁ?」
今日もチンピラめいた冒険者が吾輩を冷やかしてくる。
『春一番』とは春先に街に現れて主に女性の下半身の衣服を翻していくイタズラ好きな精霊だ。女性冒険者からは討伐賞金をかけられる程の嫌われ者で、男性冒険者からは『さん』付けで呼ばれる程に愛されている。
吾輩が『春一番さん』と呼ばれる所以は、その、なんだ、『深淵の探求』と称して魔法を使って類似の行為をしていたからである。
最初にギルドに登録した日にいきなりバレて姫に禁止とされてしまった。
誓って言うがそれ以降『深淵の探求』は行っていない。忠愛する姫との約束である。紅魔族の名誉に掛けて不義は行えない。
あの当時はそれは苦しんだものだ。『深淵の探求』は趣味を超えて吾輩の生き甲斐であったのだから。
しかし今は違う。あれから時を経て経験を得て吾輩も大人になった。下らない子供の遊びはとうの昔に卒業した。
今の吾輩に敢えて肩書を付けるなら『
ワーハッハッハッハッハ!!
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