第13話 後始末に動きます。

 警備兵に引き渡した翌日、クレール子爵に雇われた闇ギルドの連中は洗いざらい吐いたらしい。

その一件で御影は王城へとお呼び出しだ。

王城へ向かうと顔馴染みの門番が立っていた。


「お、御影先生、お元気そうで。聞きましたよ、また何かやらかしたそうですね」

「あれは、うちの店で問題を起こした奴らが悪い」

「なんか、機嫌悪いっすね」

「そりゃそうだろ、こんな朝っぱら謁見だぞ?」


御影は珍しく愚痴をこぼした。

王城へ入ると従者により、謁見の間へと案内される。

御影は直接王様と会う事は多いが、謁見となるとあまり無いので少し緊張する。

御影は貴族では無いが、今までの功績を鑑みたら、とっくに伯爵くらいにはなって居ただろう。

御影はことごとく叙爵を拒否して来た。


「おぉ、御影。珍しいなお前がこんな所に出てくるなんて」


顔馴染みの貴族、何人かに話しかけられた。


「まぁ、陛下から直々のお呼び出しだからな」

「お前、また何かやらかしたそうじゃないか。クレールのヤツも御影に手を出そうなんて考えるからだ。ざまぁみろってんだ」


御影がクレール子爵から命を狙われた事はすでに有力貴族には伝わっていたらしい。

クレール子爵は他の貴族からも嫌われているようだ。

これから何が起きるのか何となく察しがついた。


「お、陛下のご登場だ。またな」


そう言って、話しかけて来た貴族たちは、自分の並ぶ位置へと戻って行く。

御影も指定された場所に並んでいた。

国王陛下の隣に公爵、そこから先は、公爵、伯爵、子爵、男爵の順に並ぶ。

御影は貴族でも無ければ、特に大した役職にも就いていない為、国王陛下から一番遠い位置へと並ぶ。


「始まったか」


音楽と共に国王陛下が謁見の間へと入ってくる。

そして陛下は椅子へ腰を下ろした。


「クレール子爵、前へ」


クレールは何故自分が呼ばれたの分からない、という顔をしていた。

それでも前に出て、膝を突き頭を下げる。


「面を上げよ」


陛下の言葉でクレール子爵は顔を上げた。


「何故呼ばれたのか分かるな?」

「い、いえ、私には検討もつきません」

「聞いているぞ。お前は叢雲御影の経営する店で問題を起こし、ちょっとした戦闘になった事も、そしてその嫌がらせの為に、闇ギルドの連中を使って御影を襲わせた事もな」


クレール子爵の表情は一変した。


「そ、それは。確かに、店で問題を起こした事は認めますが、最強と言われた賢者様を襲うなんてことは……」


どこまでもシラを切るつもりなのだろう。


「闇ギルドの連中は全部吐いたぞ。お前が襲わせた事をな」

「そ、そんな……」


クレール子爵はガックリと肩を落とした。


「クレールよ、お前は貴族に相応しくない行いをしたことにより、現役職を全て解任、貴族位を剥奪とする」

「そ、それなら、私の兵に危害を加えたあの賢者にも責任が!」

「先に手を出したのはお前の兵だと聞いているぞ」


俺にも責任を求めたが呆気なく終わった。


「もうよい、下がれ」


クレール子爵いや、元子爵は肩を落としたまま自分の並ぶ位置へと戻って行った。


「叢雲御影、前へ」


なぜか陛下から御影の名前が呼ばれた。

こんなの聞いていないぞ。

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