第24話 食い逃げ少女
「わたし、あの魔物食べたことありました」
「ええ?」
真上からお日様に見下ろされる帰り道。やけに今日は落ち着いているなあとレフィに話を振ってみれば、予想外の答えが返ってきた。
戦ったでも、倒したでもなく、食べたとは。
「前のリーダーのときに料理当番をしてて、あれを焼いた覚えがあります」
「焼いたんですか、あれを」
「焼きました。おいしかったです」
レフィが両手を大きく動かして俺に様子を伝えようとする。
「こう、血をどばーっと抜いてですね、皮を剥いでですね、お腹を切って内臓もどばーっと出して、あっちの川で洗うのです」
「うわあ……、それで焼くんですか」
「焼きます。食べました。おいしかったですよ、おにく」
「それはそれは」
想像するだけでなかなかにエグい。
そうか、料理担当だったレフィは血を見ることにはもともと慣れていたわけだ。とすると、街以外での食事も彼女にとっては珍しいことではないのかもしれない。
「レフィさんは、野営とかしたことあるんですか?」
「ヤエーです?」
「宿じゃなくて、外で寝たりすることです。テントなり、なんなりで」
「うーん……、それが普通だったのでよくわからないです。ヤエーって言うんです?」
あらま。
首を傾げてしまうレフィに俺は目を瞬いた。
どうやらレフィにとって野宿なんて屁でもないらしい。むしろベッドでしか寝たことがない俺の方が問題なくらいだ。
そうか、それなら拠点探しはだいぶ楽になるかもしれない。
「でもでも、さいきんは宿に泊まれるので嬉しいですね。おふとんが気持ちいいです」
「オフトニウムになってましたもんね」
「なんですか、おふとなんとかって」
「レフィオフトニウムというモンスターですね。レフィさんが布団を被ると生まれます」
「わたし魔物じゃないです!!」
「そこはまだ議論の余地があると協会でも話題になっています」
「話題にしないでくださいっ! どこからどうみても、可愛いケットシーじゃないですか!」
わーっと両手をあげてみせるレフィに、俺はにやりと笑う。
「どこからどうみても、なんて言いました?」
「……どこからどうみても、ケットシーっていいました」
「なにか省略してません?」
「してません」
「左様で」
俺の笑みに、レフィはむっとして顔をそらした。
つんと飛び出した口元を見て、反射的に動かしたくなる左腕を、右手でがしりと抑えた。ナデラーの血が騒ぐ。そんな名前の職業も種族も存在しないけれど。
「ヒトを魔物呼ばわりだなんて、ニトさんはさいてーです……」
「最低? 最も低いとは? 地に足がついているということですか? 僕はそんなにしっかり者ではないですよ?」
「そんなこと言ってません!! サイテーだって言ってるんです!」
「そうなのかなあ。言われてみればしっかり者な部分はあるのかもしれないですけど……、いやあ、やっぱりそんな大した奴じゃないですよ僕は」
「知ってますうっ! なにじぶんで言ってちょっと本気にしてるんですか。ヒトに向かって魔物だとかオフトナントカとか、そんなことを言うヒトがしっかり者なわけがないです。ケットシーがおふとんを被っただけで変身するわけないじゃないですか!」
「いやそれがですね、世の中にはいるんですよ。すごく稀ですが、魔物みたいな姿に……、あ、ああ、ああああああああああああああああっ!!」
――――ああ。居た。
そんなのが居た。いたんだ、そんな奴が、確かに。
そうか、そうだ。知識しかないことが、実物を見ていないことがここまで響くとは思わなかった。そりゃあそうだ、魔物図鑑に載っていないわけだ。
あの黒くて、うすらデカい狼は、そもそも魔物じゃない。
あれは。あの瞳は、そうか。
「レフィさん。……レフィさん?」
俺がレフィに目を向けると、彼女は何歩も離れた位置からバケモノを見るような目でこちらを見ていた。
「な、な、なんですか!? いきなりなんですか!?」
「ああ、すいません。思わず叫びました」
「なにがあったら思わず叫ぶんです!?」
「叫びたいから叫んだ。どこでもよかった」
「迷惑です!! 今度叫びたくなったら先に言ってくださいっ!」
「わかりました次は『叫びたくなりまシタァァアアアアアア!!』って言います」
「手遅れですう!! 離れる時間くらいください!」
「まあ、そうは言ってもねレフィさん、あの黒い狼の話ですが」
「ぜんぜん話がつながってないんですが……、もう、なんですかあ?」
俺は一息吸って、吐き出す。
「あの狼は、あの食い逃げ少女です」
「……………………ばかじゃないですか、と言っていいのか悩むのですが」
「すいません、そうですよね。いまの流れだとそうですよね。いや、でもたぶん本当ですし、合ってると思いますよ。あの食い逃げ少女は、あの狼と同一人物です。人物と言っていいかわかりませんが、彼女の変身した姿があの黒い狼です。おそらく」
「ニトさんはついに頭がおかしくなったんです? 元からです?」
「それは元からですが、いるんですよ、
「みゅらん、れーす? なんですかそれ」
「ミュランストレイスっていう、そういう、なんかがいるんですよ。そういうなんかが。変身のやつです。変身のそういうやつです」
「なにもわからないのですが? なんなんですかそれ」
「だから、変身の、そういうやつです」
「だからわからないですって!」
「とにかくいるんですよ、変身の、ヒトが。変身のヒトです」
「なんですか『変身のヒト』って!? ふわっとしすぎです!」
「僕たちはケットシーですし、アライクンさんだったらクーシだとか、種族があるわけじゃないですか。その中でもすごく珍しくて、数もほとんどいないのですが、大きな魔物のような姿になれる種族がいるんですよね」
「それが、みゅー……、なんでしたっけ」
「ミュランストレイスですね」
「あの子がそれなんですか?」
「確定ではないですけどね。髪の色と瞳の色と。あとはあの黒い狼を僕が知らなかったっていうのも大きいですけど。たぶん、間違い、ないんじゃないかなあー……、とは思うんですけどね」
「だんだん自信がなくなってませんか?」
「いや、そうなんですよね。よくよく考えても、なんでそんなに珍しい種族がひとりでうろうろしているのかもわからないですし、どうして食い逃げなんてしなくちゃ生きていけないような状況なのかもわからないです。ということで捕まえます」
「捕まえますって……、そんなかんたんに言いますけど」
「ダメもとでいいです。そこでレフィさん、話があるんですが」
「……なんですか?」
嫌そうな表情をするレフィに、俺は笑う。
「ほかの予定はパスです。とにかくハヤサゴに重点を置いて、一気に練習しましょう」
* * *
人気のない通り。
夕日に伸びる建物の影は、いずれその勢力圏を広げて、この世界を夜にしてしまうのだろう。俺は影と反対側の壁にごつごつと後頭部を当てながら、東西と南北に交わる大きな十字路に意識を向けていた。
俺は右手に持った赤い石を手のひらの中で転がす。クリスタルほどではないけれどあまり重さのないそれは、表面がすべすべしていて、中に空洞がありそうな薄っぺらさを感じる。
ざわりと、人の群れが湧き立つ。
思わず背筋が伸びる。ついにきた。記憶の中の少女とこちらに迫る小さな影が一致して、俺は背中の壁に右手の石を打ちつける。ぱきり。
ヒビの入ったそれを虚空に放り投げるのと、俺の目の前を黒い風が通り過ぎたのはほぼ同時。パァン。乾いた音と共に弾けた赤い光りが黒髪のなびく背中を瞬時に追い越し、その先へと響き渡っていく。
聴こえたか、見えたか。
わからない。ほんの数カウント。間に合え。
ぼっ。
彼女の消えた方向。遠い南門の向こう側に砂煙が舞う。
タイミングは際どい。五日目で筋肉痛が消えることを立証した自分の足で、ひた走る。
「うあ、ああ!? なんだ、なんだああ!?」
砂煙の中から聴こえるややハスキーがかった声は想像以上に元気が良く、柱の影に隠れていたのと同じ少女であることを一瞬疑ってしまうほどだった。
「ふー、うまくいきました!」
「さすがレフィさん」
「ぬああ、なんだあ! 抜けなっ、抜けないいいっ!! あうっ! けほっ、けふっ」
風に消えていく砂塵の中。そのど真ん中に、地面で入浴をキメている黒髪の少女を発見した。もはや足どころではなく腰まで入っている。冷え性なのだろうか。せっかくなら肩まで浸かればよいものを。
「ぐぬぬ、うぬぬううううっ!!」
やはりこの印象的な赤い瞳は、あの狼と同じ色だ。
黒髪の少女は俺とレフィを睨みつけながら黒いドロを掻き分けようとするけれど、動けば動くほどその体は深く沈んでいく。もうしばらくすれば地面の固さも元に戻り、地面から生えた少女が出来上がるだろう。
俺は万が一にでも引っ掻かれないように、ほどよい距離まで近づいて腰を落とした。
「お話があります」
俺の言葉に少女ははたと動きを止め、かわりに、頭の上の大きな耳がぴくりと反応した。レフィよりは大きいけれど、ランキョクさんほどではない。呆けたように開けた口からやはりクーシー種の尖った歯が見えるけれど、それでもおそらく、彼女はクーシーではないのだろう。
「な、なんだおまええ! わるいやつかっ!」
「…………」
少女の酷い言い分にこちらも言い返したいことは多々あるけれど、あまりのんびりもしていられない。さくっと済ませよう。
「あんまり騒ぐと門の兵がここに来ます。そうしたら、あなたは捕まってしまうかもしれません。それは嫌ですよね?」
聞かれた彼女は何も答えず、やはりまた耳が反応を示す。
なんだか面白くて早口言葉でも言ってみたくなるけれど、ここは我慢だ。
「街の中ではどうも、あなたのあまりいい噂を聞きません。でも僕たちは、あなたが実は悪いことなんて何もしてないのではないかと考えています。だから助けたいと考えています。もし暴れたりせずに会話に応じてくれるなら、すぐにそこから出します」
「…………っ!」
「あと、あなたの種族が、大きな狼に姿を変えられることも知っています」
「なっ!? さ、里を知ってるのか!?」
ほんとに当たった。まじか。
カマをかけただけなのだけれど、どうやら彼女があの狼でほぼ間違いない。さらに言えば彼女の言う「里」とは、彼女の種族が住んでいる里のことだろう。
「そういったことも含めて、お話をしたいと思います。乱暴をしないと約束できますか?」
「…………したら、どうするんだ?」
「それならこのまま土に植わっていてもらいます。さようなら」
「まっ、まて!! わかった! わかったあ!! 約束だ!」
「……レフィさん」
俺とレフィは顔を見合わせ、ともに頷いてドロの縁から手を伸ばす。徐々に沈んでいくドロドロにかなりの恐怖を覚えていたのであろう。黒髪の少女はおとなしくこちらに手を伸ばし、そして握り合う。
よおいしょ、よおいしょ。
ずぶん、という汚い音といっしょに、腰から下がドロだらけの少女が引っこ抜かれた。根こそぎ抜かれた雑草のようにぐったりとしていた彼女は、まだ疑うような目をこちらに向けながらもゆっくりと立ち上がった。
「レフィさんはこのまま彼女と西の川へ行ってください。僕は必要そうなものを買ってきます」
「わかりました」
誰かに見つかっても面倒だと、俺たちはそそくさとその場をあとにする。
「あっ、れふぃんだーだ! れふぃんだーがきたのだ!」
「ニトさん~……、なんとか言ってくださいよ」
「いきなりどうしたんですか」
一番安いローブと適当な食べ物を買ってから合流してみれば、なぜか黒髪の少女にキッと睨まれて指を差される。
無事に川でドロを洗い流したらしくさきほどよりはマシになっているけれど、びしゃびしゃの体にボロ布を巻きつけただけのような、あられもない格好になっている。
「うそつきがきたのだ! だまされないのだ!」
「わたしが
「どうにかしてくださいって……、なにを怒ってるんですか?」
「れふぃんだーはうそつきなのだ! しってるのだぞ!」
レフィンダーは嘘つき。なるほど。
いろいろと突っ込みどころはあるけれど、それらについて考えるよりもまず、俺には彼女の口調が気になって仕方がなかった。
…………のだ?
「すいません、レフィンダーはどうして嘘つきなのですか?」
「嘘をつくからなのだ!」
のだ。
「……ええっとですね。嘘をつくヒトが嘘つきなのはよくわかるのですが、僕が聞きたいのはどうしてレフィンダーが嘘つきなのかということで」
「嘘をつくからなのだ!」
「そうですよね」
「ちょっとニトさん、あきらめないでくださいよ」
レフィが呆れたように言う。
そんな顔をされたところで俺にはいかんともしがたい。なぜ空は青いのですかと尋ねて、青いからですと答えられたらそれ以上に何を聞いたらいいのか。いや、そもそもそんな話はどうでもよくて、まず自己紹介なり、お互いの状況整理なり、そういったことを最初に話し合うべきじゃないだろうか。
依然と俺を睨みつけたままの少女に頭が痛くなる。何から考えればいいのかわからなくなってきた。もういい面倒だ、飯だ。
「なんでもいいですが、とりあえず夕飯にしませんか」
「ニトさん、何か買ってきたんです?」
「パンをいくつか」
「んっ! んんっ!?」
俺が袋をガサゴソすると、黒髪の少女は途端に険のない表情になって身を乗り出してくる。俺は適当にその中のひとつを掴んで少女に差し出すと、彼女はどこか呆然とした様子でそれを受け取った。同じようにレフィにもひとつ渡し、最後に自分の分を取り出す。
「まあ話は食べながらでいいですかね? 信用されてないみたいなのは仕方がないので、とりあえずこっちの自己紹介と、なんであなたを捕まえてまで話がしたかったのかを説明しておきます。名前は先にレフィさんから聞きましたかね? 彼女がレリフェトさんという方で戦士をしています。それで僕が…………、すいません、聞いてますか?」
俺は手元のパンを見つめたまま固まってい少女に声をかける。
返答はない。
レフィも不思議そうに少女の顔を覗き込み、「あの……」と肩に触れる。少女ははっとしたように顔を上げて、俺とレフィを交互に見た。
「こ、これ、食べていいのだ?」
「え? ええ、どうぞ」
少女はまじまじとそれを見つめる。
長い沈黙のあと、恐る恐るといった様子でやっと一口頬張った。それを見届けた俺とレフィも、同時にはむっと咥える。あまりに動きがぴったりだったせいか、お互いに顔を見合わせ、そしてすぐに顔を逸らした。
唐突に込み上げる笑いを抑え付けるために危うく咳き込みそうになる。俺だけでなく、レフィも同じだったのだろう。珍しい生き物をじっと観察するような空気感が完全に合致していた。レフィもおよそ彼女を珍獣のように見ているに違いない。
わかる。わかるぞレフィ。
まぐ、んむ。
少女が口の中のそれをまふまふと咀嚼していく。あごの動きにわずかな躊躇が見られるのは、よく味わっているのかそれとも毒が入っているのではないかと警戒しているのか。だとすれば手遅れではあるが。自分で食べるものを自分で毒見していたら世話はない。
それにしても遅い。まさか現代に生まれてパンを一度も食べたことがないなどという訳でもないだろう。
きゅぐん。
なかなかに良い音がして、それが飲み込まれる。
んは。と一息。そしてまた、自分が齧り付いた場所を見つめて固まった。
さきほどから、なんだろうかこの緊張感は。目が離せない。レフィも自分のパンのことを完全に忘れて、固唾を呑んで見守っている。
あぐ、はぐ、ん!
いきなり上がった食事の速度にレフィがびくりと体を揺らした。そしてレフィは俺に何かを訴えかけるような視線を送ってくる。残念だが、何を訴えているのかはまったくわからない。
そうしている間にもパンがとてつもないスピードで削り取られていく。ラット系の魔物のように頬を膨らませながら、まふりん、もちゃりんと凄まじい音を立てて口を動かす。あれだけ詰め込んだら口が塞がらなくなると思うのだが。あごが強いのだろうか。
「ん、んぐ、んんっ」
小刻みに声を上げながら、流れるようにそれを飲み込んでいく。飲み干すといったほうが正解なのだろうか。パンを飲み物だと思ったことは一度もないけれど、一応の固形物であるパンが口に入ってから少女の細そうな喉を高速で通っていく過程がどう考えても物理的な要因を無視しているようにしか思えない。
それほどにお腹が空いていたのか、という疑問にすら疑問を抱くほどだ。これを空腹という言葉ひとつで片付けるのは許しがたい。
確かに俺は自分を誠実だとは思わない。虫を木の棒でいじめたこともあるし、調合室の器具を勝手に使ったことだってある。最近だってレフィを泣かせたりアグニフを独断で排除しようともした。けれどそれでも決してパンを飲んだりはしなかった。パンは食べ物だ。
「あのう……、これも食べますか?」
「んっ、んんっ! んぐっ!!」
レフィが自分の分を差し出すと、少女は目を輝かせてそれを受け取った。それもまた、たちまちのうちに流し込まれていく。そういうイキモノに餌付けをしている気分になる。仕方がないので、俺も自分が食べた箇所を適当にちぎって口の中に入れ、残りを彼女に差し出した。
少女はすぐに受け取り、何かをもごもごと言った。
聞き返す必要なないだろう。どうせわからない。
んぐ、ふむ、はむ。む。む。
む……。んむ……。
そのまま一息に平らげてしまうかと思った。
けれど予想に反して、彼女の口の動きは次第に少なくなっていく。
いまさらになって体重が気になり始めたのかもしれない。レフィと同じくらいの年齢であれば年頃といっても差し支えないはずだ。
「…………」
ついには、与えられた餌を両手に固まってしまった。
あまりの量と勢いに体が拒絶しているのか、はたまたパンが飲み物でないことを理解したのか、もしくは世界の真理に気づいてしまったのか。
自分の耳が無くなったかのような静寂。世界において行かれたかのような動きのなさ。停止した空間の中で、俺とレフィはただただ少女の様子を見守っていた。
唐突に、少女が鼻をすすった。
どこから出しているのかもわからない、甲高い声がわずかに聴こえ、少女はまた大きく口を開けてパンをはもりとやる。
「ん、んう、んん~…………」
情けない声に続き、ずずっと鼻を鳴らす。
みるみるうちに溜まっていく涙が、ぽとりと地面に落ちた。
はぐ。もぐ。ひん。ひ。ずずり。
およそヒトが顔から出せる音を全て出しながら、少女はパンに齧り付く。ぐしゃぐしゃになりながら飲み込んでいく。
ボロボロの袖で顔を拭う。ひとつふたつとしゃっくりをすると、パンを含んだ乾いた吐息が漏れる。それでも食べる。食べる。食べ続ける。
「んん~……、う、ひう、んぐ、んん」
そのあまりにも弱弱しい様子に、レフィの片手が宙を彷徨う。
なにが辛いのか、なにが悲しいのか。どう慰めて、どう声をかけていいのかもわからないのだろう。
ただただ、泣きながらパンを頬張り続ける彼女を、俺たちもやはり、ただただ見守ることしかできなかった。
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