第54話

 小さな大地は、目を丸くして私を見つめた。








「…………?」









「だってあなたは、これからたくさんの人を、笑顔にするんだもの」









「…………うそだ」










「本当よ。お嫁さんももらうのよ!」








 誰がお嫁さんなのかは、内緒にしておくけど。









「おれが…………?」











「うん。もしかしたら、あなたの子供にもいつか、会えるかも知れない!」










 小さな大地は、さらに目を大きく見開いた。








「あなたは桜の花びらをね、こう…………パアアッ…………!ってね?」







 私はジェスチャーで、あの時見せてくれた大地のポーズを真似して見せた。










「…………う、うん…………」









「こう…………手を空の方に伸ばして…………」









「…………?」










「パアッ!!!!…………って、開くと…………」











 私の様子がおかしかったのか、小さな大地は少しだけ笑顔を見せてくれた。












「桜の花が、ワーーーーーッ!!!…………って咲くの!!!」








 大地は笑った。







「わ、ははは!!……お前、ヘンタイっぽい!!!」








 彼の頬から、涙が一筋こぼれ落ちた。





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