第53話
「だからおれは、ここに入れられてる」
…………寂しい場所。
「誰とも、一緒にいなくてすむように」
…………人ひとり分くらいしか、身動きが出来ない場所。
狭くて、家具さえなくて、むせ返る様な、木の香りしかしない。
「誰とも、話さなくてすむように」
どこを見ながら、喋っているの?
「…ここには、どのくらい一人でいるの…?」
虚ろな目をして、私と目を合わせようとさえしない。
「1回せきをしたら、罰として10日」
…………!
「おれが何か文句や泣き言を言ったら、罰として20日」
…………それではまるで、虐待か拷問だ。
「大地のお父さんとお母さんは…………?」
「いちども会ったことない。神さまたちよりも、タチバがよわいからだって」
…………!
「おれなんか、……死んじゃった方がいいんじゃないか……?」
「…………何言ってるの」
神様。
私、はじめて願いを伝えます。
「…………あなたは死んだりしないよ。大地」
この子を、今すぐ
この恐ろしい場所から、救ってください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます