孤高のドラゴン

第51話

 風の音が、遠くに聞こえる。






 さっきまで、下へ下へと急降下していたため息が出来ず、空気が肌を切り裂く様に、纏いついてたはずなのに。







 今は静かで、息も出来る。







 私は、少しずつ目を開けた。






「…………?」







 ここは、どこだろう。







 とても狭くて、あまり身動きが出来ない。








 …木の香りがする。









 壁の穴から、輝く何かが見える。








 遠くの闇の中に、巨大な白い大鳥居がある。








 ……ここは、岩時神社?








 私の体は、固い木の上に横たわっていた。







「…………?!」






 ふと横を見ると同じ場所に、ピンク色の柔らかそうな髪をした、6歳くらいの少年が、上を向いて眠っていた。






「………大地…?」






 返事は無い。






 小さな男の子だけど、大地に間違いない。







「…………大地」






 その子の手に、そっと触れてみた。






「…………ん」







 その子は、ゆっくりと目を覚ました。







「………誰…?」







「…………さくら」








「……さくら…?」








 ゆっくりと目を覚ましたその子は、私と目が合った。







「…………これは、夢………?」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る