第50話

「ははははは!……あの子が?!…人間の世界に?!!!…信じられない!!!」



 取り乱したカシャは、狂気に満ちた瞳を大地へと向けた。




「…お前のせいよ、出来損ないのドラゴンが!!」




 黒蛇カシャは執拗に、こちらへ何度も闇の炎を吐き出してくる。





 …………熱い!!





「………お前があの子を、人間などに夢中にさせたせいで……!!」






「…それはシキミの自由だ」





 カシャは七色の、強烈な炎を吐いた。





「城を壊して世界の入り口を塞いだ張本人が、何言ってやがる!」





 大地はその業火を、間一髪でかわした。






「…………あの子を返せ!!」







「…お前が人間の世界に行って、自分でシキミを連れ戻せ!」







「……何?!」






「それが出来ないなら、塞がれた世界を元に戻せ!」






 世界を繋ぐ空間はもう、完全に塞がれていた。






「癪に障る!!」





 カシャは狂気の眼差しをこちらに向け、最後の業火を一気に吐き出した。

 




「もういい!!!」





 大地と私は、どす黒い炎の渦に包まれた。






「…私の子供は、あの子だけでは無いのだから…!!!」






 大地の両翼はついにちぎれ、







「…………!!!」







 私達は、どこかへと急降下した。









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