第47話

 『大地の祝福』



 大地は微笑み、私を愛おしそうにじっと見つめた。



「…………?」



 何が起こるか分からないまま、私は大地を見つめ返した。




「…この瞬間…」




 大地は私に、そっと近づいた。




「…俺は、どっちなんだろうな…」





 彼は私に顔を近づけ、

 唇に優しく、キスをした。






 ……!







 『人間の愛情表現』、教えろって言ってたのに。








「これくらい知ってる」







 彼は悪戯っぽく笑い、みんなに向かってこう言った。







「さくらと、ここにいるみんなに誓う」





 しんとした静けさの中、

 彼は目を瞑り、両腕を天高く掲げた。






 ゆっくり目を開け、彼は言った。






「大好きだから。俺が、絶対守ってみせる」




 天空から霧雨の様にきらきらと輝く小さな光が、音を立てずに彼の周りにだけ一斉に纏いついた。




 大地は、天高く伸ばした両手を大きく開いた。



 きらきら輝く美しい光は、神殿の中に広がってゆく。



 歓声が上がる。



 桜の花びらに変わった光は一斉に舞い上がり、神殿中をピンク色に染め上げた。




「……綺麗…!」



 花びらは違う花の形へ。


 

 また別の新しい花の形へと

 変化し続ける。





「俺からの、祝福」





 彼は私に微笑みかけた。






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