第46話

 厳かに響く美しい歌声の中、結婚式が始まった。



 中央の壇上に、大地と私が向かい合わせに立つ。


 みんなはそれを囲む席に座っている。



 司会進行を引き受けてくれた紺野君の声が、会場中に響く。



『光の祝福』



「せーの」


 空蓮と小さな子供達は弥生さんの合図で、結月と一緒に描いた花の絵を、一斉にぱっと空中に放した。


「わあ…!」


 生徒達の歓声が沸き起こった。


 色とりどりの絵はふんわりと飛んで本物の小さな花になり、輝きながら空中へと一斉に舞い上がった。



『水の祝福』



 海流が虹色のシャボン玉を吹くと、それらは音を立てながらはじけ、小さな水で出来た小鳥に変わって次々と羽ばたき出した。


 海流と空蓮は青と金色のドラゴンに変身し、虹色の小鳥達と一緒に空へと舞い上がった。



 みんなは拍手をしながら、それを見守った。



『炎の祝福』



 梅が立ち上がり、きらきらと黄金に輝く炎を神殿の中全体に浴びせかけた。



 一瞬、全員が火あぶり遭う恐怖を感じたが、徐々に体中が熱いパワーに守られている様な、不思議な感覚を味わった。


 

『風の祝福』



 久遠様が白いドラゴンに変身し、大きく息を吸い込むと、神殿の中全体に息を吹きかけた。



 一瞬、全員が吹き飛ばされそうな気分を味わったが、徐々にそれは爽快で大胆な、勇気溢れる気持ちへと、変わっていった。




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