第48話

 光に満ちて明るかった場所が急激に闇に覆われ、暗くなってきた。


「…来たようだな」


 白いドラゴンの姿の久遠様が呟いた。


「ええ…音がします」


 梅は既に、黄金の鳳凰の姿に変身している。



 ゴゴゴゴゴゴ!!



 城が大きく、揺れ始めた。



「わっ!」



「何だ?…地震か?」



 凌太達は急いで椅子から立ち上がった。



「飛べないやつは、ドラゴンの背中に乗れ!」


 大地が叫んだ。



 大きな音を立てて、みるみるうちに城が崩れていく。



「…私の作った城…!」



 悲しそうな声で、梅が叫んだ。



「城はまた、作ればいい」


 久遠様が梅を諭した。



「早く背中に乗って!」


 凌太達と私の両親は海流と空蓮の背中に、私は大地の背中に乗った。


 弥生さんと小さな子供達は、久遠様の背中に乗っている。


「何が起こってるんだ?」


 凌太が聞くと、大地が苦々しい口調で答えた。


「人間嫌いの神々の仕業だ。世界を繋ぐ空間を塞ごうとしてる」



 セイランとレニは、先頭に立って私達を誘導している。



「人間の世界まで、送ります!」



 粉々になっていく城を空から見下ろすと、神殿の庭に誰かが立っていた。



「さくら、どうした?」



「あそこにシキミがいる!」



 最後に神殿が崩れ落ちる瞬間、シキミはこちらを見て微笑みながら、どこかへと消えていった。



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