第33話

「レニ、セイラン。いつもより城が明るいな?」


 大地が聞くと、青い目の少年セイランは、笑顔でこう言った。


「先生へ、みんなからのお祝いの光です」


「…先生!」


 2つに分けた髪を揺らした少女レニは、赤い目に涙を浮かべながら、大地に頭を下げた。


「ご結婚…おめでとうございます」



「ありがとう。二人も、卒業おめでとう」



 …卒業するんだ、この子達。



「先生の授業を、もっと受けていたかったです」


「先生…すごく寂しいです。本当に、人間になっちゃうんですか?」


「うん、本当。…彼女が、俺の奥さん」


「さくらです。はじめまして」


 二人は私をじっと見つめ、挨拶を返してくれた。


「はじめまして。さくらさん」


「はじめまして」


 レニは私と目が合うと、少しだけ笑顔を見せてくれた。


 大地は本当に先生をしていて、子供たちにすごく慕われているみたい。


「この人達が俺の、大事な友達」


 みんなは笑顔でそれぞれ二人と握手し、軽く自己紹介をした。


 そこへ。


 黄金の光に輝く鳳凰が飛んで来て、踊り場に着くとみるみるうちに、梅の姿へと変身した。


「…わっ?!」


「…鳥が、神社のばあさんに変身した!!」


 人間の姿に戻った梅は、凌太の声を無視して大地に向かって叫んだ。



「大地!」



「どうした?梅」



「大変です!カシャ様が…ここに来ます」




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