第32話
お囃子と太鼓の音がする。
まるで日本の、お祭りの響きだ。
私は目を開けた。
薄い暗闇の中、見た事の無い形のお城が目の前にそびえ立っている。
周りを見るとみんなも同じタイミングで、この世界に着いたらしい。
「わわっ!」
「…ここ、どこ?!どこ?!」
「…………」
「どうやら、違う世界…みたいだね」
「大地、ここは…?」
私が聞くと、大地は目の前にそびえ立つ、大きな円錐状の城を指差した。
「俺がいた『竜宮城』。…結月の絵のおかげで、みんなを連れて来る事が出来た」
煉瓦造りの塔に似た城の最上階には、ドーム状の丸いガラス屋根が見えた。壁面に、虹色の鱗みたいな螺旋階段がついている。
真上を見上げると、炎に似た光が一定の間隔でゆらゆらと輝いていた。
「この階段を登るのか…?」
凌太に聞かれ、大地は頷いた。
「最上階の神殿で、結婚式を挙げる予定」
「マジ?!」
「すごい!」
「まだ朝だから、時間はたっぷりある。さくらのご両親は神殿に直接、梅と父が連れて来る」
「え?私の両親も呼んだの?久遠様と梅ちゃんも?」
「俺達の結婚式なんだから当たり前だろ?」
大地が先頭に立ち、全員で階段を登り始めた。
中間の踊り場に着くと、10歳前後の少年と少女が近づいて来た。先端が炎の様に輝いた、白い杖を手に持っている。
「大地先生!」
…先生?
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