第34話

 意地悪そうな女性と、彼女に似た少女が踊り場に突然姿を現した。


「…カシャ様、シキミ」


「大地先生。ここで結婚式を挙げると聞きましたが」


「はい」


 大地はカシャに向かって一礼した。


「人間の魅力を神や霊獣達に教えて下さった先生に、文句を言うのも何ですが」


「…」


「先生の努力は全て無駄です。ウイルスに侵された人間世界は、もうすぐ終わります」


 大地はカシャを睨みつけた。


「誰がそう決めたんですか?」


「おお、怖い!ずっとシキミをここに通わせたのに…こんな事なら別なガッコウにすれば良かったわ」


 カシャは大地を馬鹿にした様に笑った。


「神々が人間を見捨てるのは、時間の問題でしょうから」


「人間を侮辱するのは、やめて下さい!」


「臭いがする!…本物の人間がいるのですか?病原菌をここに持ち込まれては困るわ!」


 大地は鋭い視線でカシャを睨んだ。


「その言葉…恥ずかしくありませんか?神々に人間の病気はうつりません」


 怒ったセイランは青白い鳳凰に変身し、カシャに向かって強い炎を吐きかけた。


「やめろ!セイラン」


 大地に止められたセイランは、吐いた炎を一瞬で止めた。カシャは黒蛇に変身し、舌を出してセイランを威嚇した。



「…出て行って下さい!カシャ様」



 大地の言葉に、梅が続けてこう言った。



「ここは、あなたのいる場所ではありません」


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