第25話

「ドラゴンは、どのくらい生きるんだ?」


 父の問いに大地は答え、


「種類によっては何百年も生きられますが、俺はハーフだから。人間と同じくらいの寿命しか無いと言われました」


 続けてこう言った。


「さっき、さくらの血を貰ったのは、変身する力が足りなくて」


 父と母は驚いて箸を動かす手を止め、大地を見た。


「今なんて…?」


「血を、貰った…?」


「何でもない!」


 私は慌てて話を誤魔化した。


 温かい鍋をつつきながら、大地は話を続けた。


「俺は色々特殊だから、神々ともドラゴンとも違う場所に住み、別な仕事をしています」


 帰るのが怖い、『竜宮城』の事かな。


「どんな仕事?」


「ガッコウの先生。今は、…託児所」


「託児所?」


 …誰の?


 父は日本酒を飲みながら質問をした。


「大地、結婚したらさくらを君達の世界に連れて行くつもりか?」


 どきっとした。


「それとも君が人間になるのか?」


 結婚するには、そのどちらかの決断が必要だ。


「俺が人間になります」


「…あなたはそうしたいの?」


 母が聞くと、大地は頷いた。


「はい」


「でも人間になったら、あなたの力はどうなるの?」


「力は置いてきます。必要無いから」



 久遠様の言葉が



『神々は会議をしている』



 脳裏に蘇る。



『このまま見捨てるか、人間世界を存続させるかを』



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