マイ・フレンズ

第11話

 帰るのが怖い『竜宮城』…?


「……こっちか」


 どうやら大地は、紺野君の本についている匂いをたよりに、彼の家を探し出そうとしてくれている様だ。


「後で話すよ。…ほら、多分あそこだ、コンノの家」


 緑色の屋根の家を、大地は顎で指した。


 私は地面に降ろしてもらうと、緊張しながらその家のインターホンを押した。


 ドアが開き、中から眼鏡をかけた紺野君が顔を見せた。


「委員長?」


 彼は私を見て、とても驚いた表情を見せた。


「どうしてここが…?」


 私はどう返事していいかわからなくなり、しどろもどろになりながら返事をした。


「急にごめんね!…この本を返したくて、紺野君の家探しちゃった」


 私は紺野君に、ずっと借りていた本を返した。


「これ、どうもありがとう。読みやすくて面白かった」


「…うん、素直に読める内容だから君に合うと思って。読みづらい本は、苦手そうだったし」


 いきなり、人間の姿に戻った大地が会話に割り込んできた。


「さくらは今も、イインチョって呼ばれてんのか」


「あ!…まさか…大地?」


 紺野君はまた、仰天した表情を見せた。


「よ。久しぶりだなコンノ」


 まるでムンクの『叫び』に描かれた人物みたいに紺野君は、口を開けて大地を見つめている。


「…びっくりした。いつも夏祭りの時にしかいないのに、どうして?」



「さくらに会いに来た」


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