第二十九話 作戦会議と龍の痕跡

 村長や村の代表たちを中央広場に集めて会議が開かれた。

 まずは状況整理。

 この村があるのはビヨンド火山の西側。

 ラグハートとジングスは火山を挟んで北と南に去っていった。

 二体の八打天龍が再びこの地に現れるのは明日、時間は十数時間しか残されていない。

 作戦は二種類考えられた。

 

 作戦一。

 二体の龍が火山まで来るのを待ち、二体がそろったときに何とか注意をひき、火山の東におびき寄せ、総攻撃をかける。

 

 作戦二。

 残された時間で二体の龍の居場所を突き止め、私とディルが二手に分かれ、それぞれの龍を倒す。


 どちらも確実に成功する補償などない作戦。


 「二人には悪いが、村を危険にさらすことはできん、作戦二で倒してくれ!」

 「本当に一緒に戦わずに勝てるのか?倒せなかってらどうするんだ、作戦一で行くべきだ!」


 会議参加者たちが意見をぶつけた。


 (みんなピリピリしてる...)


 村人たちは家族や自身の命がかかっている。

 落ち着いて話ができるわけがない。


 (とりあえず、今できることをやっておこう)


 「フォール」

 「キュッ」

 「ジークにこれを渡してきて」


 肩に乗っていたフォールの足に手紙の入った筒を固定して火の魔神ジークのいるビョンド火山へ飛ばした。

 火山へ来たのはラグハートの情報を火の魔神に聞くためだった。

 こうなってしまったからにはジークにも手伝ってもらうしかない。

 火の魔神ジーク・ヴォーラ、火の魔神のリーダー的存在である彼女の力は大きな戦力になる。

 クロバにも事情を伝えた。 

 人の命がかかっていることもあり、すぐに協力してくれた。

 

 ・・・


 「わかった。俺は二体がどこにいるか探す。見つかったらすぐに村に行く」

 「ありがとう...」


 クロバはビヨンド火山から北へ、走っていった。


 いろいろあって、時間はすでに二十六時、日わ完全に沈み切っていた。

 女子供、老人は村から一時非難した。

 もめにもめた作戦会議は作戦二でいくことが決まった。

 きっかけはクロバが三時間ほどで二体の龍の居場所を突き止めて戻ってきたからだ。

 ビヨンド火山から北と南に二十キロほどいったところでそれぞれの龍は休息をとっていたらしい。


 「よかった、作戦が決まらずに困っていたの」

 「大きな龍だからな、足跡なんかが分かりやすく残ってたんだよ」

 

 それとジークも合流した。

 私とジーク、ディルとクロバというチーム分けになった。

 

 「時間がない、準備でき次第出発する!」

 

 ディルの準備で準備が開始された。

 残された村人たちは村の守備に回った。

 装備を整えたり腹ごしらえをしたり、なんやかんやしていたら日の出時刻になった。

 

 「シロネ、気を付けるんだぞ」

 「はい」


 ディルと別れを告げ、ジークとラグハートがいる北へ向かった。

 

 「よろしくね、ジーク」

 「うん、絶対勝とうね!」


 フライの魔法を使い、急いで北へ向かった。

 

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