第二十七話 家族と目的地
私の魔導書の残りページが十ページしか残っていないことが分かり、ディルと私は緊急会議を開いた。
「私、多分今月中に死にますね」
「あぁ」
ディルは絶望的な表情でそういった。
ちなみに私はテーブルの上に置かれたビスケットを手に取っている。
「シロネは冷静だな」
「そうでもないですよ...」
私はビスケットを口に運ぼうとしていた手を止めた。
「ディルに転生してもらう前は本当に死ぬつもりでした。でも今の私には家族がいます」
前世とは違い、私を必要としてくれる誰かがいるがいる。
それだけで生きたいと思える。
「なるほど、シロネは生きていたいということだな」
「はい」
ディルは頭を抱えて悩んだ。
私はなぜかとんでもないことを思いついた。
「ディル、魔導書って二冊目を作ることはできないんですか?」
「二冊目?」
ディルは考えもしなかった提案を理解するのに苦しんだ。
「つまり、カーストの書の二冊目を作るということか」
「そうです」
「前例がない、が...。試してみる価値はあるな」
ディルと話し合い、魔導書の二冊目を製作することに残された時間を使うことにした。
「それでは素材から集めなければな」
私の使っている魔導書は第七位炎龍の皮と精霊の森に生える蘇生薬草を使った紙を使ってディルが作ってくれたもの。
薬草に関しては採取しに行けばいいとして、八大天龍の一角である第七位炎龍、ラグハートの皮は無理だと思った。
ディルがラグハートを倒したのは二百年前のことらしい。
市街はすでに風化して土に返っていると思う。
「ディル、ラグハートの皮はどうやって手に入れますか?」
「八大天龍はすべて百年ごとに姿かたちはそのままに生まれ変わる。だから心配することはない、もう一度倒すだけで済む」
ちなみに八大天龍とは一匹で天変地異を起こすほどの力を持った八匹の伝説の龍のこと。
それをディルは倒すだけと言っている。
(ディルはそんなのを一回倒してるんだ...)
かすかな希望を持ちながらディルとラグハート討伐のために準備を進めた。
・・・
「シロネ、行くぞ」
「はい」
次の日の早朝、私とディル、フォールはラグハートについての情報を集めるため家を後にした。
「とりあえず情報収集ですね」
「あぁ、昨日話した通り協力者達に聞いてみよう」
誕生日会の時に来てくれた協力者の主たち。
彼らの元へ行き情報収集をしようと考えた。
「まずは誰に聞きますか?」
「ラグハートは炎龍種だ。火の魔神のところに行ってみようと思う」
「はい」
二人で肩を並べ「フライ」の魔法で目的地へ向かった。
火の魔神が住んでいるビョンド火山へ。
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