第二十六話 魔導書と死
私の名前はシロネ。
魔王の後継者として勉強や戦闘訓練を積んでいます。
今日はビィーンと戦ったレイン東部の草原に来た。
基本の三属性である火、水、風をより深く理解するために様々な魔法を唱える練習をするために。
「水の巫女・我が手の内に・清き恵みを」
「ウォーター」
手のひらから少量の水が湧き出てきた。
この魔法は初心者用の基本魔法。
(それじゃあ研究開始!)
「水の巫女・豪瀑の滝を・下の地に落とせ」
「ウォーターホールドロップ」
広い草原の中、一転を意識した。
そこに向かって空から水が滝のように降り注ぎ、台地を揺らした。
十秒ほどたつと水はやんだ。
草原は大洪水である。
「やりすぎた...」
魔法とは自身の保有する魔力を文言を使って起こしたい現象を起こすものだとディルから聞いた。
文言とは魔力を操舵するために重要なもの、含まれる文言の意味によって起こる現象は大きく内容は変わる。
今回唱えた文言に含まれる豪瀑という文言は、力ずよくすさまじい水量の滝を意味している。
下の地に落とせという文言からも攻撃的な意味が取れる。
そうして起きた現象により、草原が洪水で沈んだということ。
「この魔法だと範囲が広すぎて見方まで巻き込んじゃうよ...」
このようにして魔法を実際に唱えながらの勉強を進めている。
魔法を唱え、魔法で荒らしてしまった草原を元に戻していると背後から気配がした。
「頑張っているな」
「ディル!」
勉強の進み具合を確認するために時々顔を見せに来ている。
「ちょっとやりすぎちゃいました」
「そのようだな、だが、高度な魔法が使えるということはそれだけ成長してきているということ。良い傾向だ」
「ありがとうございます!」
魔法には一~九のクラスがある。
クラス一~三が第一人域魔法。
クラス四~六が第二高域魔法。
クラス七が第三全域魔法。
クラス八が第四聖域魔法。
クラス九が第五神域魔法となっている。
一般の人が使えるのはクラス三ほどが限界。
魔導士や魔術師など、生涯を魔法研究に費やすものですらクラス六ほどが限界。
ちなみに私がさっき唱えた魔法、「ウォーターホールドロップ」はクラス四の魔法。
すでに常人の域を超えている。
その原因は私の魔導書にある。
カーストの書。
すべての魔導書の特性を持ち、成長速度が通常の何倍も上がるという特殊なもの。
でも、五百ページある魔導書の最後のページまで使ってしまうと契約者は死んでしまうというもの。
自身のステータスや魔法、薬草配合など、新しいことを学ぶとそのたびに魔導書に自動で記載されていく。
嫌でもいつか死んでしまうのだ。
「魔導書の具合はどうだ」
「はい」
魔導書を確認する。
「あと十ページくらいしか...残っていません」
...。
「なにー!?」
どうやら特殊な魔導書を手に入れた私は頑張って勉強しすぎて思ったより早く死ぬようだ
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