第二十話 報告と作戦

「ディル、ただいま戻りました」

「あぁ、どうだった」


 私は帝都での交渉内容と結果を報告した。


 「よくやった」

 「ありがとうございます。というわけで、詳しい話を進めたいのでディルにも皇帝とあってもらいたいです」

 「行かなきゃならんかぁ」


 ディルはやっぱり面倒草そうだった。


 「わかった」


 魔王ともあろう魔族が十秒間たっぷり長考していくことを決意した。

 魔王としてはあるまじき行為である。


 「それでは、我は帝国に赴いてくる。我が留守の間、カルの動きに警戒しておいてくれ」

 「わかりました」


 皇帝と話し合い、明日、詳しい話を進めることになった。

 次の日、ディルは朝食を食べてから帝都へ向かった。


 ・・・


 ディルが帝都へ出発してから一日が経った。

 昼頃、国境付近を上空から警戒していると。


 「何だろう」


 帝国付近から何か騒がしい物音が聞こえた。

 少しずつ近づいてきている。


 「シロネ!」

 「ディル!」


 地上からディルが私を読んでいた。

 ディルの所へ降りて行き、話を聞いた。


 「作戦は決まった。作戦と言っていいのかわからないがな」

 「どんな作戦ですか?」

 「魔族側は我とシロネ、帝国からは勇者、つまりクロバが森に突っ込み、敵本陣を潰す。今こっちに向かっている千の帝国兵とレインの魔族たちは森を囲み残党狩りだそうだ」

 「3人VS異世界の魔族ですね」


 帝都で皇帝と話した時、私とディルだけで十分だといったのを真に受けたようだった。

 

 「これじゃ共闘とは言えませんね」

 「向こうはそのつもりだかいいんじゃないか」


 ディルも作戦を決める時に、レインの魔族はもちろん、帝国兵の参戦を提案したが、最善策として現在の案が採用されたらしい。


 「仕方ありません。三人で全部やっつけちゃいましょう」

 「あぁ、どうしてやろうか」 


 ...。

 

 「ちょっと皇帝のところに行ってきます」

 「あぁ」


 私は皇帝のいるテントに向かった。


 「皇帝いますか?」

 

 テントの前にいる見張りの兵士に聞いた。

 

 「中におられる」

 「そうですか、失礼します」


 兵士たちにはすごい目で見られたけど関係ないよね。



 「どうした、怖じ気づいたか?」

 「いえ、戦場となるのは、帝国内の森です」

 「あぁ、その通りだが?」

 「ちょっと森が燃えちゃっても大丈夫ですか?」

 「これは命を掛けた戦争だ。悠長なことは言っておれん。必要なら焼き尽くしても構わん」


 許可はもらった、これで作戦は決定だ。


 「ありがとうございます。お互い頑張りましょうね」


 私はそう言ってディルの元へ戻った。

 最後に皇帝の口からのんきな奴だなと聞こえてきました。

 ディルの元に戻ってからしばらくして帝国兵が配置についた。


 「それじゃあ、帝国兵もついたようですし、作戦を開始しましょう」


 私とディル、クロバは大勢の兵士に見守られながら森に入った。

 正確には入る手前で止まったが…。

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