余命

余命と言うからには


命が余っていて分けられそうなものなのに


その実分けるほどのものもないのはどうしてだろう




世の中のものが澄み渡って見える


こんなにも、美しいものだろうか


終わりあると知っていても


気づかないように生きてはいた


それがある日、刮目させられる


あぁ、命は終わりあるものなんだと


気付かされたあの日に世の中は


とても美しいと思えた


際立つように見え始めたもの


過去も今も愛おしく思えた


だから、これから何を為そうか


人も己も愛おしく思えた


だから、これから何を為そうか


人は、不思議なほどに私を愛してくれた


だから、これから何を為そうか




余命と言うからには


命が余っていて分けられそうなものなのに


その実分けるほどのものもないのはどうしてだろう

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