「拝啓、もう一人の君へ」


森と、

湖と、

川と、

風。


森林の静けさに包まれて

耳朶の響きに傾けて

僕は噛みしめていた。



君に近付きたい。


十月四日。


「そろそろ、褒められても良いころじゃないか?」



湖面のざわつきまさにそのもの。

耳朶の響きを重ねて

僕は揺れていた。


君に近付きたい。


君に成りたい。


十月四日。


「お前の名前が浮かんでは消える。」



清流のせせらぎに立ち止り

耳朶の響きを蘇らして

僕は佇める筈も無く。


君に近付きたい


君に成りたい。


願わくば、君と僕を重ね合わせたい。


十月四日。


「人類史上、唯一無二の君へ。」


風流のそよぎにこの身を任せて

耳朶の響きを乗せて

僕は翔んでいきたい。


諸共に。


君に近付きたい


君に成りたい。


願わくば、君と僕を重ね合わせたい。


一人に成りたい。



未来は


何を


思うだろうか?




もう一人の君へ、敬具

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