憑依

その後しばらくしたある日。

私は絵里のことを責めてしまった。

「絵里、私ね、何があっても絵里の考えを曲げてほしくなかったよ。産んであげてほしかった」

すると絵里は震えながら言った。

「本当は産んであげたかった。今ものすごい後悔している。守ってあげるべきだったと」

そして私が発した言葉が傷つけてしまったと激しく後悔した。


そんな日の夜。

私は絵里の子として堕ロされる疑似体験を受ける。

いつものように寝ていると、いつもとは違うただならぬ気配に命を脅かされる恐怖を感じた。

冷たい手術室で自分の居場所である子宮をかき回される感じ。

逃げても逃げても追い回され、冷たい金属が自分を追いかける。

「いやだ、死にたくない」

生きたいと願っても追いかけてくるそれは生きることを許してはくれなかった。

追い回されて腕を引きちぎられる。

段々と迫りくる死に生きた心地はせず、体を引きちぎられ、子宮からおろされたときに一瞬、まぶしい光に機械的な手術室と冷たい医師たちの顔を見た気がした。

だがそれも長くは続かず、すぐにあたりは暗くなった。

つまりそれは自分の死を意味していた。

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