命の選択
12月半ばのある日、私が居酒屋のバイトを終えた10時過ぎ、何度か芙美から着信があったことに気づき、ただならない雰囲気だなと感じた私はいてもたってもいられずおりかえし電話を掛けた。な事実を告げられた。
「絵里さんが堕ろしたって…」
私は頭が真っ白になり何も言えなかった。
思わず「なんて?」と聞き返してしまった。
声を詰まらせつつ、芙美から大まかな話を聞いた。
私がバイトをしている時間に絵里が堕胎手術を受けたのだという。
芙美は自身の経験上流産を経験しているのでショックが大きかったのだという。
信じられない気持ちが大きくうろたえる私がLINEを開くとそれは事実だということを突き付けられた。
経緯としてはずっと家族観でも話し合いを持たれていたが相手側の考え方に負けて堕ろしたのだという。
私たち4人も絵里側の考え方で産んで育ててほしいという方向だったのでやりきれない思いだった。
そして4人のグループでも話し合いがもたれた。
「実はさ…」
と裕美が告げた。
最近結婚をした裕美。実は彼女も堕ろした経験があるという。
詳しい話を「今だから言えるけど」と話してくれた。
裕美が中絶をした理由は、まず子供が苦手で育てる自信がなかったとのこと。
その上福役知町もしていて障害児が生まれてしまったらと思うと生んであげられなかったという。
「…でもね、堕ろして罪悪感はある。だからというわけでもないけど、お墓参りは必ず行ってる」
心なしか裕美の打った文字が震えているように見えた。
「話してくれてありがとう、つらかったよね。絵里はこの先ちゃんとお墓参りしてあげるのかな」
と彩が続けた。
「私も流産の経験があるから言えるけど、堕ろしてしまった子のことを忘れないで上げてほしい」
と芙美も言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます