恐れていたこと

12月に入り、5人でのグループでは主に絵里のことを中心に話が進んでいた。

絵里を除いた私たちはなんとなく予想はしていたものの、この先のことで揉めているという話を聞かされた。

「みんなに聞いてほしいんやけど、実は妊娠しててん。今彼とどうするか話し合ってるところなん」

とのこと。

そこに彩が一言切り込んだ。

「結局さ、どういう話になってんの?端的に話してよ」

やはりそこは回りくどい話が苦手なだけあって彩はバッサリ聞くんだなぁと思いつつ話を聞いていた。

「うん…うちは産みたいって思ってるん。でも彼は堕ろしてほしいって」

話を聞いていくと、お互いの両親も巻き込んでの話し合いになっているらしく、絵里側は産みたい、産ませたいといい、将人側は堕ロしてほしいという主張でお互いそれを曲げないため話は平行線をたどっているという。


「絵里さ、言いづらいけどそれって今まで避妊してこなかったから妊娠したんでしょ?でさ、相手は男だし産むのは絵里だよ。結局は絵里自身がどうしたいかだよね」

と重い空気ながらも裕美は告げた。

「それはわかってんねん。でも何日も話し合って状況が変わらんくて混乱してるん」

この一言に私はスマホの画面越しにため息をついてしまった。

この先どうなるのだろうという不安がぬぐい切れないまま時間だけが過ぎて行った。


およそ半月後、恐れていたことが起きた。

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