兆し
なかよくなってからというものの他愛のない話が多く、当時確か結婚したメンバーは芙美のところだけだったかな、全員が彼や旦那のことも話す機会も多くなっていった。
そんな中、時折必要以上に彼氏のことを話すことが多くなった。
それは絵里が将人と付き合っては別れて、別の人と付き合って別れてということが多かったことに難色を示し始めた私たちが別のグループチャットを作り話をすることが多くなった。
「元のグループでは絵里と仲良く話してるけど、なんか自慢というかなんというか、そうじゃないって話絵里多くなったね」
と芙美が切り出した。
「やっぱり?あの人また彼氏と別れたじゃん、付き合ってそんな経ってないのにさ」
と彩が続いた。裕美も、
「あー、将人ね。なんかあの二人聞いてると付き合っては別れて繰り返してて何したいかわからないよね、正直」
やはり思うことは皆同じらしく、「だよね~」と言いながら絵里の話をしていた。
この頃から少しずつ絵里と私たちは距離を置くようになった。ちょうどこのころ一度絵里はグループチャットを抜けた。
「抜けたね、また入りたくなったら入れてほしいって言われてもねぇ…」
と裕美はあきれていた。
「ちょっと虫が良すぎるというかなんというか。うちらにそこまで仲いいと思われているって思っているあたりちょっとねえ」
と彩も言った。
「どっちかというと表面上は仲良しって話なのになんかねぇ」
と私も本音を話してしまった。ほかのメンバーもそうだよねと相槌を打ちつつひとまず5人のグループは存続させていた。
暫くしてまたグループに戻りたいという話だった絵里が戻ってきた。
程なくした秋ごろ、絵里から衝撃的な一言を受けた。
「しばらく生理が来ないんだ…妊娠したかも」
いきなりの告白に5人のグループでは心配やら驚きの声が上がった。
「実は今まで妊娠しなかったから仲良しするときは避妊してなくて。そしたら全く整理が来なくて」
ということだった。
4人のグループではなぜ今まで避妊をせずに仲良しをしてきたのかと話し合われた。
「将来的に結婚するとかならまだしもできちゃったら結婚するっていうのもちょっと違う気もするんだけど、後先考えていなかったのかな」
と裕美が言うと、芙美も続いた。
「そうだよね、妊娠してるのは確実そうだし、どうしていくかも問題だよね。堕ろすのもリスクとかあるし、産むのも大変だろうに…」
やはりこの先どうしていくのか、付き合っている時点では避妊は最低限しておくべきだよなぁとかそういう方向性で話はまとまっていった。
この絵里の告白が後に私たちの中で大きな事件になるとも夢にも思っていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます