第22話 明らかに飛び火だ・・・ (ブビリオ)

 

 国王の勅命で、可愛い妹のエメロードが何故か王太子宮に行くことになった。

 まぁこれは後々、理由が分かったのだが、いかせん理由が理由なので、「馬鹿なのか?」と思った。


 貴族であれ、王族であれそれぞれがそれぞれ、役割を持って産まれてきているし、その場に産まれてしまったのならその役割を全うするべきだ。

 だから僕からしたら、何を甘えた事を言っているのか・・・と思ってしまうのは仕方がない。


 確かに我が家は、両親も健在だし可愛い妹も僕には居る。

 なかなか周りに相談出来ない事も、家族には相談出来るし、家庭の愛情と言うものを惜しみなく注いでくれている事にも感謝をしている。


 そう言った面では、王太子に同情はする。

 国王様へ色々と相談出来ず、王妃様も早くに亡くなわれた。

 本当に気が許せる者でなければ、弱みを見せる事も出来ないだろう。


 だが現状、幼馴染であるカイユー・ジズマンが側に居るのだ。

 彼に相談すれば良かったし、愚痴を聞いて貰えば良かった。

 彼の為人を簡単にだが調べたが、決して秘密を口外する様な者ではなかった。

 王太子が今、後にも先にも引けなくなったのは、彼自身がカイユー・ジズマンで然り信用出来る者を、信用せずに来てしまった事だ。


 そして、こんなになるまでほっておいた国王にも責任がある。

 それなのに、だ!その尻拭いを妹にさせている。

 隣国の王子が使節団と一緒に来る?だからどうした。

 確かに失敗すれば国の恥になる。


 だがそれは国が負う責務だ。

 実際に「使節団を派遣しようと思ってるんだ~」と話が出たのが、半年も前だ。

 その話が本格化的になり、困ったからと言ってこちらに丸投げすることのが可笑しい。


 第一、いい年になっても王太子が、婚約者を迎えていないのも可笑しい。

 王太子なのだ。いやいや言ってないで、サッサと決めておけば、妹が出張る事も無かったし、王太子が今の状態になっていたとしても、その婚約者に任せる事が出来た。

 今回後手後手に回っているのは全て王族のせいになる。


 それなのに、心優しい妹に話を王命として持ってくるなんて!

 ふざけるのも大概にしろ!


 だが今回のことで妹が意外にもヤル気になっている。

 しかも王太子とは全く関係がないことへの調査もしている。

 まぁこれも元を辿れば、王太子が周りをちゃんと見ていなかったことが原因だが・・・。

 確かに国費を、民からの税金を、横領するなんて考えれない。

 それも王太子がイヤイヤ期&反抗期で発覚するのもどうかと思うが・・・。


 現在エメロードには秘密にはしているが、国王がエメを王太子の嫁に迎えたい・・・なんて話も出ている。

 僕は勿論、はっきり反・対だ!!!

 今でさえ政務はそれとなく出来るそうだが、それに余る失態が今回は露店している。

 しかも現在はエメロードに、上げては落とす攻撃を喰らっている。

 と、言うことはエメロードには、何とも思われていない・・・と言うことだ。

 まぁ、エメロードは初恋もまだだろうし・・・。

 と言うか、僕が徹底的に排除しているからでもあるけど。


 し・か・も、剣の腕前もエメロードのが上だろう。

 はっきりと王太子の腕前は確認をしていないが、エメロードが確認した時点で「大したことない」と評価されている。

 この時点でダメだろう。

 しかも、エメロードの剣は裏も表も東方騎士団では、五本の指に入る。


 なんにせよ、王太子自身がエメロードの心を捕まえないとダメだろう。

 ・・・・いや、やっぱり僕は反対だ!


 それにしても、今回エメロードが持って来た案件は、ちょっと骨が折れそうだ・・・。

 これはもうエメロードの無事が最優先にはなるが、気を付けてもらわねば。

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