俺はカミヲくんとカガミさんを見送った。


守らなきゃいけない人が居て、この数を相手にするのはよろしくない。

と、言う理由が一つ。


もう一つは「召喚術」を見られたくないから。


ブブブブブブブブ


と蝿は俺を囲んでいる。


まだ早い。

もっと纏まってくれなきゃ「当て」られない。


俺はポケットからジェル状のモノが入った瓶を取り出す。瓶を空ける。


蝿は俺に一斉に群がる。

人間だったらこの「群がり」で窒息かショックで気絶するだろう。


『よし。オッケー。』


俺は合掌し、詠唱した。


ギャーテイギャーテイハーラーギャーテイ



次の一瞬、俺の肌は青白く光り、


「バチィィッ!!」


と言う音と共に蝿たちは焼け焦げた。


カガミに見せられない理由のもう一つとして、こんな具合に「虫を殺さなくてはならない」場合があるからだ。


(まあこの蝿は繁殖力強いからいいでしょう。)


と俺やカミヲくんは納得しているが。



グラ、と視界が揺れた。


(あれ、久々にハングオーバーだ。)


ハングオーバーとは召喚の反動のようなもので、人間であれば耐えかねて倒れる者もいる。 



(カガミさんはカミヲくんにまかせよーっと。)


俺は良い意味で誤解されやすいが、本来適当な性格だ。

カミヲくんは悪い意味で誤解されやすいが実際は真面目だ。


 思えば全て真逆である。

俺は高身長に後ろで束ねられるほどのロン毛。


カミヲくんは低身長に、ソフトな坊主。


俺はガリガリ。


カミヲくんはアスリート体系。


カミヲくんはサイボーグになってすぐ煙草を辞められたらしいが、俺は吸う。


火気厳禁の森の中腹、戦闘後の一服は美味い、気がする。

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